内容説明
夭折した天才作曲家の妹リリへの想い、ストラヴィンスキーやラヴェル、ポール・ヴァレリーらとの交流、ディヌ・リパッティやコープランドといった若き才能の育成…クラシック界の錚々たる顔ぶれに彩られた“マドモアゼル”の生涯。
著者等紹介
スピケ,ジェローム[スピケ,ジェローム] [Spyket,J´er^ome]
フランスの声楽家、音楽学者、作家。1928年生まれ、2008年没
大西穣[オオニシジョウ]
暁星高校を経て、国際基督教大学卒業(哲学専攻)、バークリー音楽大学作曲科卒業。アメリカ・ニューヨークのStoneなどに自己のグループで出演、帰国後はコンポーザー/ピアニストとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
29
朝日新聞の書評で紹介されたので興味を持った。プーランクやピアソラなど錚々たる教え子がいてストラヴィンスキーとも交流を持った女性。作曲者としての才能もあったが教育者・指揮者として他人の作品を輝かせる方を選んだ。『金がない人は教えない』というスタンスは誤解を生むかも。写真は多かった。2015/12/11
Bartleby
10
すぐれた作曲家・演奏家であり、リリ・ブーランジェという早逝の天才作曲家を妹に持ち、偉大な教育者でもあった(ピアソラとかガーシュインも彼女に学んだ)ナディア・ブーランジェの伝記。ストラヴィンスキーの真価を認めた人でもあった。本書では彼女の活躍が詳細にわたって書かれているのはいいとして、いかんせん彼女の音楽観について(推測でもいいから)ほとんど書かれていないのが欲求不満になった。最近、リリの自作曲の演奏をコンサートで聴き、なぜか姉に興味がわいた。2023/02/09
ケニオミ
10
た・い・く・つ(退屈)。だ・い・く・つー(大苦痛)の本でした。よく耳にする音楽教育者であったナディア・ブーランジェの伝記ですので、大いに期待して読み始めましたが、高校の歴史の教科書のように、事実をただ羅列しただけの様な内容にガッカリしてしまいました。少なくとも彼女の広い交友範囲は分かりましたし、とても有名なピアニストを育てたことも理解できました。(リパッティもその中の人でした。)事実を曲げろとは言いませんが、もう少し魅力的な内容にできなかったのでしょうか。それとも彼女自身魅力のない人だったのでしょうか。2015/10/27
vonnel_g
4
20世紀のフランスに生まれ、生涯精力的に活動したひとりの演奏家・指揮者・音楽教育者(クインシー・ジョーンズも教えを受けたという話には驚く)の評伝。筆者が興味を持っているのはあくまでブーランジェの音楽的な功績で、こういうお話につきもののロマンスの部分がほぼないのが面白い。きらびやかな交友関係と本人の強力な個性から考えて映画の題材にうってつけなんじゃないかと思う。「ケイト・ウインスレット主演でル・シネマで上映」みたいな。2016/04/06
otakepom
3
ナディア・ブーランジェ、20世紀の音楽史を振り返る時、その名を避けて通ることはできないわけだけれど、こういう人だったのか... と、つくづく感じ入る。そして、伝説的な作曲の先生でありながら、なぜ作品を残さなかったが詳らかになって... 妹、リリの存在... これは、フランス楽壇の浅田姉妹の物語。とか言ったら、怒られそう?いや、姉妹という関係の重みと、その重さが20世紀の音楽史に、かくも作用して、多くの多彩な作曲家がナディアの下から送り出されたわけだ。一方、その文章、フランス音楽のように明朗で、素敵。2015/12/03