内容説明
多様性を承認する寛容な社会。はたしてそれは本当に実現したのか。(ネオ)リベラリズムとフェミニズムはどのような関係を切り結ぶのか。21世紀の現在から、ジェンダーの自由とジェンダーの規範を再考する。
目次
第1部 ジェンダーの理論(フロイトのセクシュアリティ理論とジェンダー問題;性的差異の二律背反―カント、フロイト、ラカン派精神分析;ポストフェミニズムと第三波フェミニズムの可能性―『プリキュア』、『タイタニック』、AKB48 ほか)
第2部 リベラリズムとジェンダー(デモクラシー、メリトクラシー、女性の暮らし―二〇世紀イギリスのリベラリズムとジェンダー;主体化、ジェンダー化―家父長制資本主義体制下のイングランドとアイルランド;船乗りの物語を紡ぐ女性―ジェイン・オースティン『説得』再考 ほか)
第3部 クィア・スタディーズ(男性性とセクシュアリティの教育―ヘンリー・ジェイムズ「巨匠の教え」;エイズ・アートとセクシュアル・マイノリティの政治―『フィラデルフィア』、『レント』、『ザ・ノーマル・ハート』;市民社会と表現の可能性―dumb typeによる『S/N』 ほか)
著者等紹介
三浦玲一[ミウラレイイチ]
一橋大学大学院言語社会研究科教授。専門分野はアメリカ文学、ポストモダニズム
早坂静[ハヤサカシズカ]
一橋大学大学院法学研究科専任講師。専門分野はアメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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竜崎
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消費される/消費する「クィア」の章にて、Netflixの「クィア・アイ」が「五人のゲイ男性が異性愛者の男性にファッションや食事、インテリアなどについてのアドバイスをあたえ、メイクオーバーを手伝う」「多数派に有益な技能をもつ少数派としてクィアが消費されている」と記載されているが、そもそも「クィア・アイ」は異性愛者の男性だけでなく異性愛者の女性も同性愛者もすべての老若男女をメイクオーバーする。そして消費財の指南(ファッション・食事・インテリア)だけでなく、内面のトラウマや悩みをサポートするゲイ男性もいる。2022/11/02
Yuki
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LGBT/SOGIの問題は、いまだ制約が大きすぎるがゆえに、自由の希求の声が通りやすい。つまりは、マクロな問題にのみ、一枚岩になりやすい時代状況にあるということを念頭に置いておかなければならず、ミクロなアイデンティティの問題は相当にセンシティブである。/また、ジェンダーという大所になると、既に2次、3次……と関係領野を拡げているが、閉塞感や内部分裂、実現希求モデルのバラつきが目立つところである。無論、ジェンダー平等を下敷きにしつつも、それ以外の変数・メタシステムを焦点とした議論・分析が望まれる。2022/01/16