内容説明
建築造形と人間の精神が結びついた霊的空間である修道院の回廊を建築学として追究。貴重な資料をふんだんに使い、修道院の知られざる側面など、数多くの新知見を分かりやすく紹介。建築図面など120点の図版、150葉のカラー写真を収載した。
目次
第1章 中世回廊空間の出現に至るまで(縦でつなぐ中庭空間と横につなぐ柱廊空間;紀元前の東地中海沿岸の柱廊中庭様式 ほか)
第2章 初期中世からロマネスクのイタリア回廊空間(回廊空間の系譜;アポストロスの誕生からモンテ・カッシーノまで ほか)
第3章 イタリアのシトー全回廊空間(中世に出現するシトー会修道院;シトー会の精神性と建築 ほか)
第4章 13c~17cのイタリア回廊空間(修道院建築から独立した回廊建築;ルネサンスの回廊建築を分析し考察する ほか)
著者等紹介
竹内裕二[タケウチユウジ]
1943年生まれ。工学博士、一級建築士。早稲田大学卒業、ローマ大学建築学部修了。平成元年度日本政府文化庁派遣芸術家在外研修員。法政大学大学院博士課程修了。法政大学デザイン工学部建築学科、放送大学、星美学園短期大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヤクーツクのハチコ
1
ロマネスクやゴシックの特徴である「飾り」ではなく、「空間」そのものが美であるんだね、と。建築の説明はほぼ理解できていないんだが、写真を見てたのしむ。それでよし。2012/01/20
ふにゃ
0
回廊空間。その始まりはエジプト、そしてギリシャの神殿、ローマ時代以降は修道院・公共建築へ。いずれの場所・時代においても中心に中庭があり、その周囲を四辺が囲むという構成は同様だが、材料、工法、ディテールには地域差、時代性、作家性が表れる。多様性をもち、かつ時代も場所も文化も超越する究極のインターナショナルな建築だ。回廊空間の歴史をみると、「モダニズム」の様式である建築があるのではなく、あくまで「モダニズム的な性質の建築」、「地域的な性質の建築」であり、性質の割合の強弱の問題のようにみえてくる。 2018/03/17