出版社内容情報
青山 拓央[アオヤマ タクオ]
内容説明
幸福とは何か。いかにして幸福になるか。そして、なぜ幸福になるべきか。
目次
1(幸福であるとはどのようなことか;幸せで、それを知っているなら)
2(幸福と不幸をかたちづくるもの1;幸福と不幸をかたちづくるもの2;付録:小さな子どもたちに)
3(なぜ幸福であるべきか;幸福はなぜ哲学の問題になるのか―あるいは『モナドの領域』について)
著者等紹介
青山拓央[アオヤマタクオ]
1975年生まれ。現在、山口大学時間学研究所准教授。哲学の観点から、とくに時間・言語・自由・心身関係を考察。慶應義塾大学より博士(哲学)を取得。県立浦和高校、千葉大学文学部、同大学院博士課程、日本学術振興会特別研究員などを経て現職。2006年、日本科学哲学会第1回石本賞を受賞。2011年、文部科学大臣表彰科学技術賞を研究グループにて受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
34
実に繊細に、かつ上品に著者は幸福という概念を腑分けしていく。幸福を語る言葉がうさん臭いのはぼくの印象では「わかった者」が「わからない者」へお説教・御高説めいた言葉を垂れてしまう上下関係が必然的に生まれうるところだと思っている(もちろんこれはある種「不可抗力の事由」でもあると何ら皮肉を込めずに素直に思う)。そうした「上下関係」とそれに伴う「暴力性」「説教臭さ」を回避する穏やかな語り口に惹かれ、自分自身もこのヌエのような「幸福」という概念について考えてしまう。いや、概念に振り回される「誤読」はいけないのだけど2023/12/30
テツ
17
人はみな幸福になるために生きているなどと簡単に言うけれどそもそも幸福とはどのようなものなのか。全ての人間に適用できるような絶対的で普遍的な幸福の形というものはどうやら存在しないようだけれど、それならば自分が目指すべき幸福とはどのようなものなのか。いや。そもそも瞬く間に終わってしまう短い人生を幸福などという不確かであやふやなシロモノを追い求めて消費してしまうことが本当に正しいのか。幸福の形もそれに至る道程も対峙の仕方も自分独りで探し出し創り上げなければならない。そこに至るには哲学的な思考のプロセスが必要だ。2022/12/15
ミズグ
9
読んでいると途中から論旨がむきだしの現実への耽美へ向かう、そこへ以前に読了した入不二、佐々木の著書との共振を感じる現実にここに自由意志はあるのだろうかと考えるうちにモナドの領域。2017/02/14
袖崎いたる
9
幸福について哲学者が考えることを、哲学者はあまり興味がない。というか人生論として哲学を語ることを好もしく思わない。本書で論じられる幸福問題は俗情に訴えるという構えを持っているかもね。筒井康隆的に。それを糸口にして幸福を哲学的に考えていく次第。著者は望まないだろうが処世訓を読み取ることもできる。それもありだがローティみたいに比較幸福思想の手立てとする方が楽しいかも。試しに約めてみると、「幸福が自己に対して時間を世界していることを思弁する快楽に浴する幸福」、な一冊。それと継続的注意断片化には警鐘を傾聴すべし。2017/01/12
D
8
2章あたりで少し頭がこんがらがって難しく感じてしまいました。 論じていることは納得のいくものばかりで、図書館ではなくきちんと購入して再読したいなと思います。 トマス・ネーゲルや他哲学者の話も面白かったです。2021/03/15