内容説明
いっこうに上達しないショパンを弾くサルトル。驚くほど美しく繊細な手で弾くニーチェ。ピアノを弾いていると「何かが勃起する」バルト。ピアノ演奏をこよなく愛した三人の思想家の知られざる側面を浮き彫りにする、哲学と音楽が豊かに共演したエッセイ。
目次
直観
オフビートのピアノ―サルトルの場合
なぜわたしはこんなにすばらしいピアニストなのか―ニーチェの場合
ピアノがわたしに触れる―バルトの場合
共鳴
著者等紹介
ヌーデルマン,フランソワ[ヌーデルマン,フランソワ] [Noudelmann,Fran〓ois]
フランスを代表するサルトル研究者。パリ第8大学教授。ジョン・ホプキンス大学やニューヨーク大学の客員教授、全‐世界学院のコーディネーターなどを歴任。2002年以来、ラジオ・フランス・キュルチュールで哲学番組のパーソナリティを務め、哲学・文学・芸術について幅広く語り、人気を博している
橘明美[タチバナアケミ]
お茶の水女子大学文教育学部卒業。英語・フランス語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
69
サルトルが生涯プライベートでピアノを弾いていたことは初耳。即興風に弾いていたらしい。そこに興味が湧く。中途で読むのに頓挫した『存在と無』も新たな目で読むといいのかも。2023/07/23
Bartleby
16
サルトル、ニーチェ、バルトはアマチュア・ピアニストだった。彼らの著作などの表の発言から見える顔とは別の顔に光を当ててみせた興味深い1冊だった。3人ともじつはショパンが好きでよく弾いていた。ニーチェとバルトはシューマンも。音楽の趣味というのはその人を丸裸にすると思う。もっとも、敬愛する作家の趣味がひどいものに思われるというのもよくあることだけど、自己イメージとの距離の取り方が面白ければそれで良いと思う。本書は三様の距離の取り方が透かし見え、彼らの思想のあり方に今までになかった光の当て方がなされていて新鮮。2023/05/02
風に吹かれて
16
全・世界を思考し記述しようとしたサルトルは思考と記述の時間のズレ、あふれる思考を文章化することの絶えざる緊張感から脇道に逸れるようにリズムを殺したピアノ演奏をする(YouTubeで見ることができる)。「精神が崩壊」した後の亡くなるまでの11年間においてもピアノを弾いていたニーチェ。ピアノ演奏は身体に鼓動を起こすための心臓の役割であったかと思わせられるバルトのピアノ演奏。それぞれの、哲学した生における精神と身体が如何に音楽と共にあったか。音楽との関わり方を知ることが哲学者の生そのものに迫ることでもある。2019/10/10
やま
6
読書メーターで紹介されて積んでおいた本をようやく読めた。サルトル、ニーチェは知っていてもバルトって誰?共通はピアノとショパン、シューマン、ワーグナー、ラベルなどの作曲家。音楽の哲学的考察もさる事ながら、サルトルとシュバイツアーが親戚だったとか、ニーチェは作曲もしていたとか、ワーグナーとも繋がっていたとか、シューマンとラベルの共通性とか、思っていた以上に知らないことが多く、興味深かった。2017/06/16
Haruka Fukuhara
6
ニーチェが気になって読んだけど、他の2人の部分も面白かった。ニーチェがプロ級のピアノ愛好家だったとか作曲を本格的に試みていたとか知らないことが多くて興味深かった。サルトルは読んだことないけれど、ちょっと前にはすごい影響力があったみたいで、思想家の賞味期限は人それぞれだなあと。サルトルって今でいうとセカオワみたいな人だったのかな、生活を公開する哲学者というのはちょっと訳わからないけど、そういうの好きな人もいそう。お洒落な本だった。2017/02/12