内容説明
ビン・ラディン殺害を緊急加筆。ピュリッツァー賞作家が、徹底取材で暴く衝撃の事実。その男。敵か、味方か?CIAがアルカイダに放った二重スパイが難攻不落のCIA前哨基地に自爆テロを仕掛けた!多数の幹部局員が殺傷されたCIA史上最悪の事件の真相とは。
目次
強迫観念
取り憑かれて
青年医師
屈辱
情報提供者
標的
聖戦主義者
圧力
基地司令官
二重スパイ
ぶらさげられた餌
リハーサル
三重スパイ
アッラーのほかに神なし
殉教者
殉職
決意
戦没将兵追悼記念日
著者等紹介
ウォリック,ジョビー[ウォリック,ジョビー][Warrick,Joby]
テンプル大学卒業後、ジャーナリストの道を歩む。ノースカロライナの州都ローリーのザ・ニューズ・アンド・オブザーヴァー紙での仕事により、1996年度ピュリッツァー賞(公益報道部門)を受賞。1996年にワシントン・ポスト紙に移籍し、以後、中東問題、外交問題、国家安全保障問題を専門とする記者として活躍。2004年には大量破壊兵器拡散の脅威に関する報道で、アメリカ海外報道クラブ賞を受賞した
黒原敏行[クロハラトシユキ]
翻訳家。東京大学法学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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DEE
13
小児科医フマム。リアル社会では真面目な青年医師であるが、ブログでは過激な発言を続けヨルダン当局に目をつけられ連行される。 その後釈放される代わりにCIAの情報提供者としてタリバンの組織の中に食い込んでいく。彼が送ってきたのはCIAがずっと待ち望んでいた、タリバン上層部との接触の様子。疑問はあったものの信じたCIAの対テロ精鋭部隊はフマムとの接触を図るが、実は…というお話。 見たいものを見たいように見るのが人間、CIAですらその性質に抗えなかったのか。2019/08/01
香菜子(かなこ・Kanako)
5
映画ゼロ・ダーク・サーティを見たことをきっかけに読了。アフガニスタン基地で起きた自爆テロ事件の顛末をまとめた良書。アルカイダとの戦い、テロとの戦いの実情が伝わってくる。2017/11/05
Humbaba
5
情報を得たとしても、それが事実かは限らない。また、事実だとしても、ある事実の一端を意図的に切り取っただけのものかもしれない。相手を信用しなければ情報は得られないが、信用するということは危険を犯すことにもつながりかねない。その分配を間違えれば、自分のみならず周囲の人間を危険にさらすことになりかねない。2015/03/22
くれの
5
狂信的な原理主義が人の道を絶ち、その本懐と対極の行動を命ずる狂気がこの世に現存しているとは俄に信じられません。情報戦の最前線にいる傭兵に対し信頼と裏切りの狭間に交わされる生死の懸かった心理戦は緊迫そのものです。2014/05/14
sasha
4
2009年12月30日にアフガニスタン東部のCIA前線基地内で起こった自爆テロ事件。CIA史上に残る大惨事となった事件の背景、アメリカの同盟国ヨルダン総合情報部がアルカイダに送り込んだ二重スパイが自爆テロに及んだ経緯を詳細に追っている。どんな理由があれテロは許されるべきではない。しかし、報復に報復で応えていたら憎しみの連鎖は永遠に断ち切れない。本書では自爆テロの犯人となった青年医師にもスポットを当てた良書。翻訳も読みやすい。2014/05/01