内容説明
寄生虫博士。そう呼ばれるきっかけとなった寄生虫によるアレルギー抑制説は、２０年ものあいだ日の目を見ることがなかった。この説を証明するために、寄生虫の一種であるサナダムシを５代にわたり、１５年間自らの腸の中に飼いつづけた。バカな研究と嗤うなかれ。誰も通らなかった道を、誰とも違う方法で歩んできた希代の科学者が、自身のおかしな人生を通して私たちに語りかけるものとは。
目次
第１章 幼少期の体験が私を複雑な性格にした
第２章 風土病との闘いに青春をついやす
第３章 地球温暖化が気になる
第４章 インドネシアで人生観が変わった
第５章 インチキもいつか本物になる―アメリカでの研究生活
第６章 ウンコの研究から、人の心を探る
第７章 血液型から人の性格を知る
第８章 水惑星の旅で多様性を知る
第９章 自分の体で実験したい
第１０章 自分の生き方をつらぬく
著者等紹介
藤田紘一郎［フジタコウイチロウ］
１９３９年、中国・旧満州ハルビンに生まれる。東京医科歯科大学医学部を卒業後、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。医学博士。テキサス大学留学後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学大学院教授を経て、２００５年より人間総合科学大学教授、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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zag2
28
読友さんのコメントにひかれて。１０年ほど前の本ですが、そうか！寄生虫がいると花粉症などのアレルギーが抑えられるというのは、藤田先生の説だったんですね。ともかく破天荒な方の様子で、ホントかいなと思うような話も多々出てきます。まあ、真似したいかと言われれば考えてしまいますが、キレイすぎるのも考え物だ、とも思います。昨年８１歳で亡くなられたとのこと。ご冥福をお祈りします。2022/02/27
Tomomi Yazaki
19
今でこそ寄生虫による免疫効果は世間でも認識されているけど、研究当初は学界からは無視され、抗菌を売りにする関係者からは多大なるバッシングを受けていた藤田先生。名前は伏せるが、彼に育てられた弟子たちは、不義理にも彼のもとを去っている。そんな彼のもう一つの研究。それは血液型の違いによる免疫と性質。科学的根拠はないとされているが、統計的には大きな意味が隠されていた。これは、寄生虫の研究で有名な故・藤田紘一郎博士の恨みつらみと感情が露にされ、自らを蔑み、暗い青春を正直に綴った、私にとって、とても良い自叙伝です。2022/02/10
toshio
12
我が道を行く研究者。人と群れずに個性的な成果を出し続けられる、彼は本物の学者なんだろう。ウンコの量、食べ物の量ではなく、ウンコ質量の半分を腸内細菌の量で決まるそうだ。かの薩摩隼人五代様も、稚児食い西郷ドンなみの巨大陰嚢になっていたら、さぞビックリポンだったろうに。2016/03/09
タミイ
10
寄生虫研究でお馴染み藤田先生が自らの生い立ちと研究人生を綴った「人生の棚卸し」本。戦争経験、医師の父を持つも貧しかった家庭環境、いじめ体験等、深い所で自身を作った重たい思い出をも赤裸々かつユーモラスに語る。インドネシア・カリマンタン島で大変化した衛生観念と人生観、その後の「ウンコ研究」やサナダムシ自己人体実験への思いも納得。まさに題名通り、変だと笑われ貶されてもこうした研究に情熱と人生を捧げる藤田先生は凄い。現代の我々の清潔無菌信仰も行き過ぎは禁物。菌や寄生虫もいてこその共生環境は確かに必要なのだろう。2016/03/25
neimu
9
研究内容の面白さに辿り着く前に、その生い立ちの記の部分に圧倒された。良くも悪くも大変な環境の中で育ち、鬱屈のある中で、人の避ける研究の分野に足を踏み込み、突き進んでいくんだなあという・・・。でも、とても面白い。医療系の堅い読み物ではないので、読み飛ばしてしまいそうだが、たくましく生きる姿勢、研究のツボのようなものも満載だ。たまにはこういう読み物も楽しいなあ。（もっとも、呆れて読むのが嫌になる人もいるかも、ね）2012/02/21
