子乞い―沖縄孤島の歳月 (新装普及版)

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784773629064
  • NDC分類 916
  • Cコード C0037

出版社内容情報

日本テレビ系列・土曜連続ドラマ「瑠璃の島」(2005年4月放映開始)の原作。舞台は沖縄県西表島のほんのちょっと北に浮かぶ、面積約1平方キロの鳩間島。1982年当時の人口は41人、小学校の生徒はたった一人だった。三学期の終了とともに、この生徒もいなくなる……。廃校の危機を迎えた小学校の存続をめざして、島じゅうの大人たちが立ち上がった。マンガ「光の島」(尾瀬あきら作)の原作本でもある。

プロローグ 闇のトゥバラーマ
第一幕 島分け
第二幕 シマ興し
第三幕 世願い
第四幕 島の生と死
第五幕 南島のリズム
第六幕 子供たちの秋
エピローグ 幻影

 南島の死生観
 資料◆鳩間島の盛衰――人口の推移と主な出来事
 島の歳月をみつめて――鳩間島への手紙
 増補・新版 あとがき

●テレビドラマの中の『子乞い』――新装普及版刊行に寄せて

 空前の沖縄ブームが続いている。沖縄を訪れる観光客は毎年五〇〇万人を超えるまでになった。この先、まだ増えそうな勢いだという。

 一人あたりの宿泊日数を平均三泊と仮定すると、頭数にして一五〇〇万人。毎月一〇〇万人を超える人たちが沖縄県内をかけめぐっていることになる。これは沖縄県の総人口にほぼちかい。

 沖縄はいいわねぇ。冬でも暖かいし、海もきれいだし、食べ物も美味しいし……。

 日本のどこにいても、最近はこんな声を聞く。書店には、いわゆる「旅本」を筆頭に、沖縄の居・食・住のガイドブックがズラリと並んでいるし、移住のための手引書も数多く出ている。テレビの世界もそうである。タレントに「元気なおじぃ・おばぁ」を訪ねさせ、長寿の秘訣をきいて感心したり、羨んだり……。そんな番組がやたらとめだつ。キーワードは判を押したように〈癒し〉。沖縄へ行きさえすれば病んだ心も身体も治ってしまう――といわんばかりだ。ともかく当の沖縄の人がとまどうほどの礼賛ぶりである。

 たしかに、七色に輝くサンゴの海はこころをなごませてれるし、空の青さにも不足はないいるときだった。いまでは全国各地から居場所を失った子どもたちが自分の意思でやってきて、島での生活を楽しみ、それぞれ自分らしさを回復して帰っていく。

 はたして、この幼い子どもたちの心身を癒してくれるのは海や空の青さだけなのだろうか。

 ドラマ「瑠璃の島」は、『子乞い』に描かれたきびしい孤島苦を生きる人々と共鳴しながら、四半世紀の時空を超える。

 二〇〇五年三月二〇日 森口 豁

日本テレビ系列・土曜連続ドラマ「瑠璃の島」(2005年4月放映開始)の原作の普及版。『ビッグコミック・オリジナル』(小学館)で連載の「光の島」(尾瀬あきら作)の原作本でもあります。

内容説明

80年代初頭、小学生がたったひとりになった鳩間島の住民は、親戚の子を島外から借りてきてまで小学校を存続させようとした。いまでは全国各地から居場所を失った子どもたちがこの島へやってきて、自分らしさを回復して帰っていく。でも子どもたちは、はたして海や空の青さだけに癒されるのだろうか。TVドラマ「瑠璃の島」前史。

目次

プロローグ 闇のトゥバラーマ
第1幕 島分け
第2幕 シマ興し
第3幕 世願い
第4幕 島の生と死
第5幕 南島のリズム
第6幕 子どもたちの秋
エピローグ 幻影

著者等紹介

森口豁[モリグチカツ]
1937年、東京生まれ。フリージャーナリスト。1959~74年まで琉球新報社会部記者や日本テレビ沖縄特派員として米軍統治下の沖縄で暮らす。テレビドキュメンタリー『ひめゆり戦史・いま問う国家と教育』『島分け・沖縄鳩間島哀史』などの制作でテレビ大賞優秀個人賞などを受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Machida Hiroshi

7
本書は、離島苦に喘ぐ過疎の島・鳩間島で、小学校を存続させるために里子をとる苦渋の決断に至った経緯とその後の島の葛藤を描いたノンフィクションです。本書を元にして作られたTVドラマ「瑠璃の島」を見た後に読みましたが、結果的にドラマである程度美化された鳩間島の裏にある実際のドロドロした島民たちの苦悩に触れられて、一層理解が深まった気がします。登場人物がが全て実名で出ていることに驚きましたが、著者が40年に渡って鳩間島を見てきて培った島民との信頼関係の賜物なのでしょう。2020/03/18

Hiroki Nishizumi

4
再読。日テレ瑠璃の島の原作となっているが、テレビドラマのような展開はなく、淡々と島の実情が綴られている。実名が多く登場しリアリティが迫る。冒頭の闇のトゥバラーマは他所では分からない、行っただけでは分からない、島民だけが心に染みると思う。その一方、鋼かゴムのいずれかの精神を求められる移住者の気持ちは少し分かる。2015/06/01

Hiroki Nishizumi

2
何も知らずに訪れ、魅せられて何度か再訪してる鳩間島。そのせいか文章の一行一行に想いがつのり、切なくなる・・・ 文中の「二拍子の島」は実に言い当て妙だ。でも七色に輝く珊瑚の海だけではない、葛藤・試練・離別・失望・闘いがある。残念ながらこの本が書かれた30年前と状況はあまり変わっていない。確かに高速艇の定期航路化は叶ったが、それでも毎年のように学校存続に冷や汗をかいているようだ。去年小中校の運動会に参加したが、今の自分に出来ることが思いつけない・・・2012/05/26

ゆふいん

2
島内の人間関係をここまで赤裸々に(しかも実名で!)書いてあるとは。著者と島民の信頼関係は強いのだと分かった。ドラマ「瑠璃の島」の原作ということで読んだのだが、子どもの成長に関する話題はあまり無い。だが、八重山諸島の歴史について深く知ることができたのが収穫。また石垣島に行きたい。今度は鳩間島にも行きたい。2010/05/25

てぃうり

1
知人が最近訪れたのきっかけに読んだ。今では観光で石垣島から日帰りもできるとか。鳩間島の壮絶な歴史に息をのむ。ここまで個人情報をさらしていいのかと、島民の皆さんの大らかさと人の良さに驚く。2016/06/23

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