ひと箱のマッチ

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  • サイズ B6判/ページ数 201p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784773378672
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

自殺の妄想・悪夢についての仮説・アヒルのグレタ・戦闘好きの陰茎・冷蔵庫捕獲係・パンツつまみ機・警笛の調律師・アリのフィデル…33本のマッチが織りなす炉端の哲学の小宇宙。

著者等紹介

ベイカー,ニコルソン[ベイカー,ニコルソン][Baker,Nicholson]
1957年ニューヨーク生まれ。『Double Fold』では全米批評家協会賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

12
朝起きてマッチをすって暖炉に火をおこす。そこから始まるいくつもの朝。事件はおこらず、たいていは作者の想像回想イメージで、文章が進んでいく。今馴染んでいる幸せな生活。しかしそれはいくつもの偶然のはかない世界の、ただ中にいる事を感じてしまった。2015/04/15

きゅー

11
今回は『中二階』の流れをくむ作品。とある男性が、夜明け前の静かな時間に暖炉を前にして思い浮かぶことが綴られる。「グッドモーニング」と始まる独白が全部で33章。内容は木から一斉に葉が落ちた時のこと、よく行く理髪店のことなどベイカー節の本領発揮。今作では暗闇の中でコーヒーを淹れたり、暖炉に火をつけたり、洗い物をしたり、シャワーを浴びたりする際の身体感覚が注視されており、例の細かい描写が続く。劇的なことは起きないが、彼の語りがツボに入れば止めどなく愉快。自分の知らない日常の世界をかいま見る楽しみに溢れていた。2012/12/21

こはね

4
本の紹介では、すごく変な話であるかのように書かれてたので、覚悟しつつ楽しみにしていたが、まったくそんなことはなく、早起きする男性の話だった。私も早起きしようと心がけているのでちょっとわかるような気もするけれど、暖炉に火をつけて眺める楽しみはないので羨ましい。暖炉の前に座りながら、昨日あったこと、昔の出来事、関係ないこと、子供のこと、妻のこと、アヒルのことに思い巡らす。薄暗くて、あたたかい印象。2013/03/18

ハルト

3
淡々としてユーモラスで。しゅっとマッチを擦る、その間にだけ浮かぶ幻影のような短い日常の一幕の積み重ね。日常の何気ない物事を細やかに興味深く、そして楽しげに見つめる視線。そんな作品の雰囲気は、早朝の清々しくひそやかな空気と、起き抜けのどこかとぼけた感じとにほどよくマッチしていて、胸に心地よいぬくもりが残るような作品でした。2013/03/06

azur

0
カバーデザインがちょっと秀逸。表紙のカバー(これの正式な名前は何と言うのだろう?)に穴があいていて、カバーにマッチの軸があり、穴の中(すなわち厚紙の表紙の上)に炎が灯っている。カバーをはがすと、厚紙には暖炉の絵が描いてあり、マッチの火だったものが、暖炉の種火になっているという意匠。この物語じたいが、主人公が毎朝早起きして暖炉に火をつけるまでの時間に得た考察が日記風に記されているもので、暖炉が準主人公みたいなものだからね。2013/08/10

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