出版社内容情報
生きていれば必ず体験する否定的感情を癒してくれる親密な関係を閉ざされ、みずからの奥底に否定的感情を封印し、恐れと不安と孤独のなかでアディクション/犯罪加害に一瞬の救いを求めた当事者たち。否定的感情を受け容れてくれる関係を築き、恐れと不安と孤独に耐え、みずからの人生を引き受ける希望が生まれたとき、彼/彼女たちの回復と変化は芽生える。
アディクション臨床,加害者臨床,被害者支援,家族支援など,個人と人々との関係性あるいは社会で生きる個人にアプローチする臨床は,面接室で本人の話だけを聞いていれば状況が好転するわけではない。個人の心理面だけではなく環境面にも対応する臨床は,ケースワークや法律など学際的なアプローチとスキルも要求される。個人の心理面のみを扱う臨床とは異なる「関係性」臨床とも呼ぶべき臨床フィールドが、多彩な臨床家たちによって本書で展開されていく。
セックス・薬物・アルコールのアディクション、インターネット嗜癖、ハラスメント、性暴力、犯罪加害と治療共同体、子どもの性問題行動、トラウマからの回復、貧困、そしてアディクション/犯罪加害当事者との対話まで、彼/彼女たちの回復と償いと変化の可能性を探る迫真の臨床ケースレポート。
【著者紹介】
大阪大学大学院人間科学研究科人間科学専攻・教授
内容説明
親密な関係を閉ざされ、否定的感情を封印し、恐れと孤独のなかでアディクション/犯罪加害に一瞬の救いを求めた当事者たち。彼/彼女たちの回復と償いの可能性を探る迫真の臨床ケースレポート。彼/彼女たちは何を恐れたのか?
目次
「力」のアディクション―封印された「恐れ」と「暴力」
第1部 成人のアディクションと加害(性暴力とアディクション;セックスと薬物のアディクション―HIV陽性であるゲイ/バイセクシュアル男性にとってのコントロールと関係性;女性のアルコール依存症と回復―アルコホーリクス・アノニマスに参加する女性当事者の語り;アディクションとしてのハラスメント―ハラスメント相談から見える加害と被害の奥にあるもの;語りの場と犯罪行動からの離脱―刑務所内治療共同体のつくりかた)
第2部 子ども時代に見えてくる関係性のつまずき(性問題行動のある子どもたち;子ども時代のトラウマと「感情の封印」からの回復―児童自立支援施設における子どもを対象としたグループ実践より;青少年のインターネット嗜癖―ネットゲーム嗜癖体験を通して;南スーダンの少女たち―内戦によるトラウマからの回復を支える支援)
第3部 アディクションと犯罪からの回復
著者等紹介
藤岡淳子[フジオカジュンコ]
大阪大学大学院人間科学研究科教授、臨床心理士、博士(人間科学)。上智大学文学部卒業、同大学大学院博士前期課程修了。法務省矯正局、府中刑務所分類審議室首席矯正処遇官、宇都宮少年鑑別所鑑別部門首席専門官、多摩少年院教育調査官などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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