内容説明
日本では1998年以降、年間自殺者数3万人台が続いている。自殺は、残された遺族や親しい人々に深刻な心理的打撃を与え、死にゆく人3万人の問題にとどまらない。自殺はまさに他人事ではなく、社会全体で取り組むべき課題なのである。本書では、ライフサイクルに従い、学校、会社、地域といった社会のさまざまな場所で、学生、働き盛り、高齢者等さまざまな年齢層の自殺を予防するために、どのような取り組みがなされているかを詳述する。さらに、自殺の危険の高い患者の治療にあたる際の精神療法的アプローチについて、また自殺が起こってしまった際の遺族、そして援助者自身のケアについても丁寧に解説した。精神科医、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカー、教師等、現場で自殺の危機と向き合い、未然に防ぐべく奮闘している援助職に必読の書である。
目次
第1部 自殺の実態と自殺対策基本法(日本の自殺と世界の自殺;国のレベルでの自殺予防対策)
第2部 ライフサイクルと自殺(中学生の自殺予防;高校生の自殺予防;―医学生の自殺予防;働き盛りの自殺予防;高齢者の自殺予防)
第3部 精神療法(自殺の危険の高い患者の心理;自殺の危険の高い患者に対する治療の原則;自殺の危険の高い患者に対する精神療法;自殺の危険の高い患者の治療に関する補遺;自殺の危険の高い思春期患者に対する弁証法的行動療法;精神障害と自殺予防の心理社会的介入;ポストベンション(遺族のケア)
患者の自殺と治療者の反応)
第4部 自殺と医療過誤訴訟(自殺と医療過誤訴訟)
著者等紹介
高橋祥友[タカハシヨシトモ]
1953年、東京生まれ。金沢大学医学部卒。医学博士、精神科医。1987~88年度、フルブライト研究員として、UCLAでエドウィン・シュナイドマン教授のもとで自殺予防および死にゆく患者の精神療法を学ぶ。2002年より防衛医科大学校・防衛医学研究センター・行動科学研究部門・教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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