内容説明
リストカットなどの自傷行為の増加、あるいは、タトゥやボディピアッシングの世界的な流行にみられるように、自らの身体を傷つけ変形させることは、いまや広くみられる行動である。その一方で、それらは、重大な心理的苦痛や精神疾患の徴候という側面があることも事実であり、その全体像はいまだに十分に解き明かされていない。本書は、自傷行為の臨床と研究を志す者にとって避けて通ることのできない、現代の古典である。本書において著者は、「自らの身体を傷つけ、変形させる」という現象を、膨大な資料と症例を用い、歴史、民族、文化、そして生物学・精神医学という多次元的視点から、徹底的に検討している。
目次
第1部 身体を傷つける行為をめぐる信念、宗教、食行動、動物行動学(身体を傷つける行為をめぐる信念、態度、慣習、イメージ;創世神話、シャーマニズム、宗教における自傷行為;自傷行為、摂食障害、カニバリズム;動物にみられる自傷行為)
第2部 身体各部の自傷行為:比較文化論的視点と臨床精神医学的視点から(頭部および頭部の各部;四肢;皮膚;性器)
第3部 自傷行為の鑑別診断と治療(自傷行為の理解:文化的に是認された自傷と病的な自傷;生物学的および心理社会的知見;治療)
ボディプレイ―神に選ばれし者の証か、それとも病的な現象か?
著者等紹介
ファヴァッツァ,アルマンド・R.[ファヴァッツァ,アルマンドR.][Favazza,Armando R.]
医師、公衆衛生学修士。ミズーリ大学コロンビア校医学部精神科教授
松本俊彦[マツモトトシヒコ]
国立精神・神経センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター自殺実態分析室長(薬物依存研究部診断治療開発研究室長併任)。佐賀医科大学医学部卒業。横浜市立大学附属病院での研修を修了後、国立横浜病院精神科、神奈川県立精神医療センター、横浜市立大学医学部附属病院精神科、国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部専門医療・社会復帰研究室長を経て現職。現在、日本青年期精神療法学会理事・編集委員、日本アルコール薬物医学会評議員、日本アルコール精神医学会評議員・編集委員、日本司法精神医学会評議員、日本社会精神医学会学術委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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