ナラティブ・ベイスト・メディスン―臨床における物語りと対話

ナラティブ・ベイスト・メディスン―臨床における物語りと対話

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  • サイズ A5判/ページ数 298p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784772407069
  • NDC分類 492
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》  本書は医学界に強調されてきた「根拠」や「統計」「科学性」に対する補完的な意味をもつ考えであり,新しい時代にかなったパラダイム・シフトを医療者に求める,Narrative Based Medicine(NBM)の意味とその重要性を提示する画期的な書物である。
 人間はそれぞれ,自分の「物語り」を生きており,「病気」もまた,その物語りの一部である。しかし,現状の医学においては病気も,患者の物語りも,患者自身でさえ,臨床の現場から疎外され,ただの「疾患名」をもった対象にしか見られない。その疾患が医学的に治療可能な場合は問題は少ないものの,治療が不可能であったり,困難であるとき,あるいは重度の障害や高齢者のケアの場合などに,患者の語る物語りに傾聴しないことは,その人の人生の破壊にすらつながってしまう危険性をもつ。治療を受ける側が自ら語り出す「ナラティブ」を重視し,対話を臨床実践に生かすことは,医療の重要な責務でもあり,医療が患者と治療者のあいだでスムースに進み,臨床が真に確立する鍵ともなる。
 EBM(根拠に基づく医療)の研究者でもあった編者らと,医療の第一線で活躍する29名の医師等によって書かれた本書は,NBMの理論とその背景,そして実践に関する膨大な情報をまとめたもので,医師をはじめとするすべての医療関係者に役立つはずである。    

《目次》
推薦の辞 河合隼雄 iii
日本語版への序 
序文 ハワード・ブロディ
謝辞 トリシャ・グリーンハル,ブライアン・ハーウィッツ
第1部 概   説
第1章 なぜ物語りを学ぶのか?
トリシャ・グリーンハル,ブライアン・ハーウィッツ
第2章 世界としての物語り
アンナ・ドナルド
第2部 病いの物語
第3章 中央値は何も語らない
スティーブン・ジェイ・グールド
第4章 私の人生が変わった晩
ロバート・マックラム
第5章 血友病サバイバルガイド
ドナルド・ベイトマン
第6章 死に逝く人々の物語―ホスピスケアにおける記述療法
ギリー・ボルトン
第7章 小児てんかんの物語り―「わたし,てんかん? それともてんかんがわたし?」
ヘンリエッタ・ワインバーン,パラミット・ジル

トリシャ・グリーンハル
第3部 医療における物語り
第8章 痛みの物語り
リチャード・ベイリス卿
第9章 物語に寄り添って―一般診療におけるケアの継続性
イオナ・ヒース
第10章 実地医療における精神保健と物語り
ジョン・ローナー
第11章 セイレーンと迷い犬とヒルダ・トムソンの物語り
マーシャル・マリンカー
第12章 外科と物語り
ジェームズ・オーエン・ドライフ
トムへ
トリシャ・グリーンハル
第4部 物語りの学習と教育
第13章 医学における文学
スティーブン・ラックマン
第14章 医学部教育で人文学を教えること
ハリエット・A・スキアー
第15章 英国医療における「黄金の語り」
スチュアート・ホガース,ララ・マークス
第16章 看護,物語りと道徳的想像力
P・アン・スコット
死者の記録―一般診療における瞑想と調査
ブライアン・ハーウィッツ
第5部 ヘルス・ケアにおける物語りの理解
第17章 聴く物語と語る物語―臨床現場における会話の分析
グリン・エルウィン,リチャード・グイン
第18章 心理療法における物語り
ジェレミー・ホームズ
第19章 電子診療記録と「物語りの素材」―ナラティブ学のモデル
スティーブン・ケイ,イアン・パーブ
第20章 臨床における逸話
ジェイン・マクノートン
患者の個人的体験のデータベース
トリシャ・グリーンハル
第6部 ヘルス・ケアにおける物語りの展開
第21章 医療倫理における物語り
アン・ハドソン・ジョーンズ
第22章 人類学と語り
ヴィーダ・スカルタン
第23章 傷ついた語り手―医療過誤における物語りの織り糸
ブライアン・ハーウィッツ
第24章 根拠に基づく世界における物語りに基づく医療
トリシャ・グリーンハル
第25章 臓器が奏でる音楽
ルース・リチャードソン
付録 推薦図書
トリシャ・グリーンハル,ブライアン・ハーウィッツ

内容説明

本書は医学界に強調されてきた「根拠」や「統計」「科学性」に対する補完的な意味をもつ考えであり、新しい時代にかなったパラダイム・シフトを医療者に求める、Narrative Based Medicine(NBM)の意味とその重要性を提示する画期的な書物である。

目次

第1部 概説
第2部 病いの物語
第3部 医療における物語り
第4部 物語りの学習と教育
第5部 ヘルス・ケアにおける物語りの理解
第6部 ヘルス・ケアにおける物語りの展開

著者等紹介

斎藤清二[サイトウセイジ]
1975年新潟大学医学部卒業。富山医科薬科大学医学部内科学第3講座助教授

山本和利[ヤマモトワリ]
1978年自治医科大学医学部卒業。静岡県の地域医療に従事した後、総合医学の確立を目指す。札幌医科大学医学部地域医療総合医学講座教授

岸本寛史[キシモトノリフミ]
1991年京都大学医学部卒業。静岡県立総合病院心療内科
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Moe Ushiki

1
NBMとは何かを学びたく、手に取りました。 患者が話してくれることの、ごくわずかしか理解していないことも、改めて認識させられる…。 印象に残ったのは「文化がなければ人間は存在しないのである」というところ。 人間は「社会的に構成された物語」の中にすみ、それを体現することによって生きているのであり、その物語から抜け出すことはできない…。 過去をどう振り返るのか、認識などふくめて、奥が深いというのか、人間の存在って複雑だなと改めて感じました。2023/06/25

ばかぼん

0
人はNarrativeを通して社会と結びつくことができる.その語られ方は可変的であり,また,人との関わりの中で新たに生み出されていくようなものである.医療者は,患者が安定した首尾一貫した患者特有のNarrativeが語られるように適切な視点を提供するとよいのだが,その土台として敬意をもって患者の話を聴く姿勢が求められる.文学の学修は,より高いレベルの学びと,共感,想像力,自己認識,そして道徳的反省の発達を促進する.2022/04/04

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