内容説明
自閉症は、生涯長期にわたって持続する障害である。治療的観点からは、各年代で起こりうる不利益を最小限にするためのケアが、そしてクライエントに対し、各世代間の連続した治療目標と実際的なプログラムが必要である。本書は、自閉症に関わる臨床家のために具体的対応のためのガイドラインを提示する。各項目は、日常臨床のごくあリふれた治療課題について、主観に走らず、たえず「自閉症とはどのような障害か」という根本的な問いを念頭に述べられたものである。また大きな特徴として生物学的視点を大幅に取り入れ、中枢神経機能への精神薬理学的治療や、知覚の病理まで論及し、後半部ではschoplerの治療活動の最新報告や、PSW活動の実際をも紹介している。特定の理論を越えた立場から、自閉症の新しい治療学を模索する試み。
目次
第1部 幼児期・学童期の自閉症(自閉症の早期診断;幼児期自閉症の精神病理と治療;自閉性障害の早期治療 ほか)
第2部 青年期の自閉症(青年期・成人期自閉症の精神病理と治療;自閉症の入院治療;行動異常の薬物療法 ほか)
第3部 自閉症をめぐるトピックス(自閉症のtime slip現象と自閉症療育におけるその意義;思春期における行動異常の成り立ち;自閉症とPSW活動 ほか)