内容説明
大震災後、観光どころではないと考えるか、いまこそ観光でまちに元気をと考えるか。観光振興は観光客のためというより、その地域に生き住まう人びとのためになされると考える編者のまなざしに共感する15篇の地元学と観光文化の興味深い論稿。
目次
1部 観光文化と地元学の視座(地元学への射程;観光政策の現状と課題;観光文化に注ぐ地元学のまなざし)
2部 周縁を巡る観光の地元学(中心と周縁の観光論―長野県飯田市及び下伊那郡を事例に;飯田型ツーリズムの基層;湖都の両義性と観光のゆくえ;ニュータウンの地元学―文化施設からの試みを中心に)
3部 文化の多様性と地元学(遷都周年事業を巡る平城・平安比較論;おばんざいの京都観光論;歴史と暮らしの地元学―奈良町“生活観光”論;「金沢学」と観光文化;小京都という視座―三重県伊賀市上野地区を事例に;音楽文化が育む地元学と観光)
4部 風土と産業のための地元学(産業観光とモノづくり地元学;まちのホスピタリティーとその源泉;地域文化を紡ぐ人と風土と歴史)
著者等紹介
井口貢[イグチミツグ]
1956年滋賀県米原町生まれ(現:米原市)。岡崎女子短期大学経営実務科、岐阜女子大学文学部、京都橘女子大学文化政策学部教授などを経て現職。現職:同志社大学政策学部・大学院総合政策科学研究科教授。専攻は関心分野:文化政策学、観光文化論、観光倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
2
はじめに では、観光学と観光業学とは一線を画するとされている。確かに、観光産業の意味は複雑。時に顧客重視のあまり、地元の住民の暮らしがないがしろにされたり、交通渋滞や環境(ゴミ)問題も発生されるからである。まちづくりを通じて、個人としては人生を見つめ直す契機となるようだ(30ページ)。同感である。ひとづくりがまちづくりの要諦だからでもある。地元学を都市で展開するには、とう農村発の地元学という位置づけも確認しておきたい(36ページ)。「風土ツーリズム」(67ページ)も興味深い。自分史と地元史の接合が課題か。2012/12/01