内容説明
差別/被差別関係(複合差別)として論じられてきた差別問題の歴史を辿り、そのリアリティに社会学(者)がどのように向き合い、別様な関係性(共同性)を立ち上げていけるのか。部落問題と在日朝鮮人問題が、都市下層社会のなかでいかように立ち現れ、行政権力がどのように差別、当事者団体、地域社会を変容させていくのか。本書はその問いを詳細に抉る。
目次
本書における方法論的課題
第1部 都市下層社会と差別の変容―分断と横断の地域社会史(高度経済成長期における同和地区とスラムの形成;スラム対策と住民運動の生成過程;キリスト教系社会事業の位置と「地域化」という戦略;「不法占拠地域」における住民運動の条件―同和地区/スラムからの空間的分断;都市下層社会における住民主体の論理と構造―行政権力とコミュニティ)
第2部 行政権力の動態と住民主体の行方―差別是正のパラドックスのなかで(同和行政における執行規準の発動メカニズム―行政権力による画一化と「逸脱」;拘束する制度と規範化―住宅地区改良事業と隣保事業という重石;同和行政「廃止」のポリティクス―「同和」(「隣保」)から「多文化共生」へ
地域社会における住民主体の行方―エリアマネジメントから大学移転のまちづくりへ)
地域社会の自立を描くエスノグラフィに向けて
著者等紹介
山本崇記[ヤマモトタカノリ]
1980年神奈川県生まれ。2009年立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。現在、静岡大学人文社会科学部(地域創造学環)准教授。公益財団法人朝田教育財団評議員。NPO法人新たな崇仁まちづくりの会理事。論文「都市下層における住民の主体形成の論理と構造―同和地区/スラムという分断にみる地域社会のリアリティ」(『社会学評論』63、2012年)で日本都市社会学会第5回若手奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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