現実をみつめる道徳哲学―安楽死からフェミニズムまで

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  • サイズ A5判/ページ数 212,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784771014398
  • NDC分類 150
  • Cコード C3010

内容説明

本書は、抽象的説明に終始しがちな道徳哲学の諸学説を、安楽死・同性愛・中絶・動物の権利・死刑制度など現代社会のさまざまな現実と引き合わせることによって、他に類をみないほど鮮やかに描き出している。これらの豊富で適切な実例によって、倫理学上の問題とは、書物の中に閉じ込められた空虚な理論ではなく、我々の眼前で生起している生々しい出来事に他ならないということが実感されるであろう。

目次

道徳とはどういうことか
文化的相対主義の挑戦
倫理における主観主義
道徳は宗教に基づくか
心理学的利己主義
倫理的利己主義
功利主義者のアプローチ
功利主義をめぐる議論
絶対的道徳規則はあるのか
カントと人格の尊重
社会契約の思想
フェミニズムと気づかいの倫理
徳の倫理
満足のいく道徳説とはいかなるものか

著者等紹介

古牧徳生[フルマキトクオ]
1960年生まれ。1989年京都大学大学院文学研究科博士課程学修認定退学。現在、大阪芸術大学他非常勤講師。研究領域、中世哲学、特にエックハルトのラテン語著作

次田憲和[ツギタノリカズ]
1966年生まれ。1998年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。2002年京都大学博士(文学)。現在、大阪芸術大学他非常勤講師。研究領域、西洋近現代哲学、特に現象学系の哲学
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感想・レビュー

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チネモリ

8
 私がこれまで読んできたのは「道徳哲学入門」という名の「哲学史」だった。まともな道徳哲学の入門書にやっと出会えた。本書は代表的な学説の解説書である一方具体的事例を交えてその問題点も指摘する。代表的な学説は一見正しく感じるが見方を変えれば矛盾する点もある。例えば「社会契約論」は道徳の普遍化可能性という点で限界があることを本書から学んだ。最近関心ある「動物倫理」の点から既存の学説を応用させた新たな展開の必要性も感じた。私のように道徳哲学を学び直す者にとって良書である。再読したい1冊である。2018/04/22

ねぎとろ

4
利己主義、功利主義、カント主義、社会契約論の4つを柱に、それぞれの長所・短所を的確に論じ、共通する原理をくくりだして、あるべき道徳とは何かを考える道筋を描きだしている。優れた入門書だと思う。2009/01/12

Momoya

3
初めて読んだ哲学の本で、知識がなくても楽しめた一冊。基本的な道徳をは何か?の問から始まり、有名な論説を社会事例と共に解説されていて非常にわかりやすかった。道徳において「善」とされている行為は、その行為を行うもっともな理由が説明できるもの。そのためにまずあらゆる事物を感情論抜きに「事実」として把握する必要がある。しかし、「事実」を把握する段階で、先入観や経験が先行し、ある行為に対しての正誤が別れ、対立する論説が現れる。事物を正確にとらえ、真をみつけることが善の行為に繋がると学んだ。何度も読み直したい。2016/01/01

hegemon

2
学説と例題のくりかえしで倫理学の理論を整理して一覧できた。「はじめの一冊」としてもいいが、最も威力の高い読み方は手当たり次第の読書によって作った漠然とした見取図の整理としてかもしれない。2018/04/28

K.K

2
功利主義者である著者の色が多く出ているが、規範倫理学の基本書としてはかなり、スマートでわかりやすい展開だったと思いました。突っ込みどころも多いので、議論もしやすく良本だと思います2012/09/23

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