内容説明
生産力20倍の米国に対して戦いを挑んだ日本の指導者たちは、太平洋戦争をどう捉えていたのか。泥沼化した中国大陸の戦場を尻目に、国家総力戦の経営原則をわきまえず自暴自棄の戦争を推進させた昭和日本の思考様式を徹底的に究明―戦時下の日米の経済格差を比較検討し、合理性を欠いた戦争経営の実体を綴る。
目次
第1章 刺すべき心臓のない国(“聖戦”;磁場)
第2章 資源と輸送と海上護衛と(無資源国日本;船舶か艦艇か;海上護衛をめぐる用兵の論理 ほか)
第3章 幻の不沈空母(不沈空母論は現実的か?;短い勝利の日々;大凶の兆 ほか)
第4章 胡蝶の夢(悲願;海軍軍縮をめぐる軍縮と軍拡と;「物的戦力の谷間」と言われた時代 陸軍軍備 ほか)
第5章 侏儒とアトラスと(暴虎馮河;自壊する陸海軍戦備;日米ウオー・ポテンシャル比較)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
27
数字は正確だと思うが、グラフのページを入れていくとより分かりやすいかも。明治維新からずっと数年ごとに戦争してきていて、勝利も敵失や短期決戦で薄氷を踏むようなことばっかりだから、日中戦争にのめりこんだ。GDPの3割常時で戦時は9割投入とか内需が伸びるわけない。負けがこんだギャンブルのように起死回生求めてラスボスアメリカに挑んでしまったのが運の尽き。開戦時の爽快感はギャンブル張った時のテンションと同じ。勝っても負けても、民族自決の流れは変わらなかっただろう。2021/09/16
Honey
7
はじめにだけ。 どっぷり自虐史観ぽい雰囲気に、ちょっと辟易。 たぶん、具体的な数字など、貴重な史料的価値は高そうにも思いますが、 またいつか、余裕のある時にでも。 ということで、いったん終了。2020/03/02
まっちゃん2
4
著者は1926年生まれで終戦時19歳。ちょっとWGIP-自虐史観にどっぷり染まりすぎで、戦前の日本にたいする洞察に欠ける。経営学見地による数字の分析はまあまあただしいのだろうけど、戦前の日本をただの侵略国家ときめつけるなど、感情的に筆がはしっている。はじめの2,30Pで読む気が失せる。あとは斜め読み。よんでて不愉快になるところ多々あり。2020/07/30
dogu
2
物量と技術及び政略・戦略・戦術などの考え方でも負けていたことを豊富な史料を引用しながら端的に示した本。これを読めば「こう戦えば勝てた」系の本に何の意味も価値も無いことがはっきりと分かる。著者独特の文体にクセがあるが、それがスタイルと思えば理解は出来る。2012/02/23
RapalaF9
0
ルサンチマンと学ぶ、データで学ぶ太平洋戦争