内容説明
全長三十六メートル、全幅四十メートル、一梃の機銃さえもない巨人飛行艇を駆って、襲いくる敵戦闘機群を蹴ちらし蹴ちらして、絶妙の神技を見せ、みごと大空の決戦に勝ち抜いたエース・北出が綴る空戦記。飛行時間七千時間、海軍の至宝と謳われた名パイロットが“炎”のごとき闘志を燃やした蒼空の死闘の跡を辿る。
目次
第1章 仮借なき大空へ
第2章 戦火の上空にて
第3章 あす知れずとも
第4章 死守すべきもの
第5章 報われざる死闘
第6章 身を捨てて勝つ
第7章 業火の中に想う
第8章 大空に生きる男
第9章 白い雲に乗って
著者等紹介
北出大太[キタイデダイタ]
大正3年11月、東京都台東区に生まれる。昭和6年、横須賀海兵団に入団。昭和8年、霞ヵ浦第21期操縦練習生卒業。その後、館山航空隊、横浜杉田航空隊に配属、日華事変では江上航空隊で戦線勤務につく。空技廠テストパイロットを経て、昭和16年、開戦にともないアンボン島934航空隊、のち第2南遣艦隊指令部付となる。ジャワ島にて終戦、終戦時の階級は少尉。昭和21年、復員
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感想・レビュー
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鐵太郎
14
昭和8年に霞ヶ浦の海軍第24期操縦練習生の教程を30人中ビリで卒業し、太平洋戦争を97式飛行艇の機長として勤務しつづけ、終戦を同期のただ一人の生き残りとして少尉で迎えた北出大太(きたいで・だいた)氏の物語。この手の本にありがちな創作っぽいところや誇張もあるようですが、知恵と決意と向上心と諦めない心を持って最後まで戦い抜いたその姿は、いまの日本人になにか教えてくれるところがあるのではないかな。2020/02/22
ぱちお
14
97式には武装がないとは知らなかった。よく生き残った。あきらめない心が凄い。2019/05/22
零水亭
10
九七式大艇といえば本ではコレ、映画では「南海の花束」(戦中)と思います。二式水上戦闘機(零式艦上戦闘機にフロートを付け、垂直尾翼を増積するなどして水上機化したもの。三菱ではなく中島飛行機にて)の活躍も記されています。当時、二式飛行艇も制式採用されていたのに、鈍重な九七式飛行艇を選び、激戦地を戦い抜いたのは、驚嘆の一言に尽きます。 この本、ジブリの宮崎駿監督の愛読書ではなかろうか、と勝手に推測しています。2019/07/12
もちもち
3
武装が機銃1つしかない、しかも鈍足の飛行艇で戦闘機を撃墜したエピソードといい、悪天候の山から味方の救助に向かうエピソードといい、機転の利き方と発想がさすがベテランパイロットだなと思った。 それにしても飛行時間7000時間はすごい2021/07/05
sumikko
2
▲大変な体験記だが、ちょっと癖というか感情がこもりすぎな部分が強く感じる。それくらいじゃないと生き残れないのかもしれない。2017/08/03