出版社内容情報
1935年には、アスベストの危険性が認識されていた。その使用の全面禁止は2012年だった。石綿問題を通して日本の病巣を問う。
永尾俊彦[ナガオトシヒコ]
元毎日新聞記者で、フリーのルポライターとして長年、環境問題を追う。石綿問題は8年に亘って取材し、今まで『世界』『金曜日』などに石綿問題を寄稿してきた。著書に『干潟の民主主義』(現代書館)等。
内容説明
石綿被害から、この国のかたちを見つめる。命より優先される国益とは何なのか?防げたはずの大阪・泉南のアスベスト被害はなぜ起きてしまったのか?今も続く理不尽な人命軽視に立ち向かい、“群像の勝利”を歴史に刻むまでの軌跡を追った渾身のルポルタージュ。
目次
第1章 国家とイシワタ(石綿の王者;艦上攻撃機「石綿号」;ブラックホール ほか)
第2章 息ほしき人々(「ぐるみ」の被害;ミヨシ様;アリ地獄)
第3章 命を重くするクイ(お国のえらいさん;二重の罪;みんなの判決)
著者等紹介
永尾俊彦[ナガオトシヒコ]
1957年、東京都生まれ。毎日新聞記者を経て、ルポライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ブラックジャケット
15
国は被害が出ることを知っていた。対策をとろうと思えば出来た。でもやらなかった。原告団が問題をシンプルにするために作られた不作為の責任を問うスローガン。南泉州は明治の頃からアスベスト製造の零細企業が集まる場所だった。軍国日本、経済成長の下支えのために、経営者から従業員まで石綿の白い粉にまみれて仕事をしていた。病気になるのが当たり前。在日朝鮮人、部落、離島出身者、読み書きもできない人もいる。危険性を知らせずに働かせた。それでも出る大阪高裁の反動的な三浦判決。最高裁の勝利判決がなければ閉じることのできない本。 2020/08/08