内容説明
すでに、記憶の半減期。2011‐2014、「悲喜劇」を追った。小学館ノンフィクション賞作家、渾身のフォト・ルポ。
目次
二〇一四年十月十七日 「せつねぇーな」と恵子さんが言った
二〇一一年四月二十日 福島へ
二〇一一年四月二十一日 天皇と原発
二〇一一年四月二十二日 ひとりの酪農家
二〇一一年四月二十四日 ストリップ劇場
二〇一一年五月一日 福島の仙人、勇夫さん
二〇一一年五月三日 野生化した犬たち
二〇一一年五月二十七日 移転先が決まった
二〇一一年五月三十日 福島の忠犬ミッキーとラオー
二〇一一年六月十日 酪農と小原保〔ほか〕
著者等紹介
八木澤高明[ヤギサワタカアキ]
1972年神奈川県生まれ。写真週刊誌『フライデー』カメラマンを経て、2004年よりフリーランス。『マスキッズ―毛沢東のこどもたちを巡る旅』(小学館)で2012年、第19回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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kinkin
70
カメラマンでもある著者のフォト・ルポ。2011.3.11以降フクシマは未だ原発事故が収束しないままだ。この本はフクシマにある町、牧場や歓楽街、生き残った動物たち、原発作業員、無念にも亡くなったひとたちを通してこの事故について世間一般の目線とは別の目線で描かれている。当時しきりに流されていた「上を向いて歩こう」のCMを観ていた住民が上を向いていたら放射能が落ちてくるという言葉が印象に残った。2020年のオリンピックの2週間に数兆円使う一方、フクシマはじめ東北の復興が全く見えないのはなぜか。図書館本2017/05/11
たまきら
19
読み友さんから。独特の白黒のキメの粗い写真が、まるで遠く昔の60年代の学生運動時代の話を読んでいるような気にさせられるけれど、実際はネバーエンディングストーリー(オチはない)様を帯びてきた車で数時間の距離にある現実なのだ。あ然とするもよし、冷めた目で見るもよし。共に怒るもよし。Life is the crummiest book I have ever readータイムラインは継続していくのだ。2017/06/09
とよぽん
10
写真とキャプションが直球で迫ってくる。文章を読むにつれて、著者である写真家八木澤さんの人となりに、惹きつけられる。表紙にドキッとする。日本各地の貧しい地方に、原発が助成金やら補償金やらと引き換えにもたらしたものは何か?著者のインタビューに答えてくれた人々の発する言葉が重い。2017/05/26