内容説明
病から回復しても、ハンセン病者に対する差別と迫害から受けた心傷は癒えない。ハンセン病の歴史と現在に学ぶ。
目次
いま、ハンセン病問題を考えることの意味―本書の課題と内容について
ハンセン病の歴史(中世)
ハンセン病の歴史(近世)
当事者の証言:ハンセン病差別を生きる
日本の近代化過程におけるハンセン病
国際協力(ハンセン病に関して)―世界へはばたけ世界はあなたを待っている
水俣学とハンセン病―未来に伝える
リデル、ライト両女史とハンセン病救済活動
龍田寮の歴史と黒髪校事件について
当事者の証言:ハンセン病差別の中で生きて
隔離との闘いと今後の課題―救済の客体から解放の主体へ
まとめ:偏見・差別のまなざし
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かりん
3
中修一さんのお話は直接聞いたこともあり、よく覚えています。『社会に出て、恵楓園に戻ってきた時はほっとした。ここにいる人たちは自分と同じ。分厚い壁が社会からの偏見や差別の目から守ってくれる。』これが一番強く重く印象に残ったなあ2023/08/08
Schuhschnabel
3
熊本学園大学で2010年度に開講されたオムニバス講義の講義録をもとにした本。日本における「癩者」差別の歴史から、黒髪校事件や水俣病など熊本に関係する出来事、元患者たちの経験談、そしてハンセン病問題の現在まで、バラエティに富んでいる。あとは療養所か厚生省の生き字引の方がおられたら完璧だったのにと思わないでもないが。小笠原嘉祐さんが述べている通り、この世から差別をなくすことはできない。できることは、差別の対象にされている人がそれを不当だと自覚していない場合はそれを教えてあげて、一緒に戦うことだと本心から思う。2021/05/29