内容説明
障がい者家族となって初めて実感する社会との断絶。懸命に生きるわが子を負担に思うことへの葛藤と自責の念。ようやく親子5人で共に生きる道筋が見えてきた矢先に先立たれるまでの揺れ動く感情を綴る。
目次
第1章 運命を変えた出産
第2章 引っ越し
第3章 入院
第4章 運命を変える決意をした出産
第5章 再び秋田での生活…今度は家族五人で
第6章 日々思ってきたこと、未来に向かって
第7章 尚くんとの別れ
第8章 力なき者の力
著者等紹介
佐々百合子[ササユリコ]
1975年生まれ。2000年、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻修士課程修了。2004年1月弁理士登録。製薬会社勤務のかたわら、2010年3月、第一子出産(産休・育休取得)。2012年8月、第二子出産(産休・育休取得)。2014年4月、第三子出産(産休・育休取得)。2015年退社。2014年11月に第二子が亡くなったことから、重症心身障害児を育てている家族支援の具体化や障がい児者への理解を推進するため任意団体「NAOのたまご」を設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よむよむ
47
衝撃的なタイトルに惹かれてしまったことは否めない。内容は母親として余りに辛く苦しい体験と告白。当事者でない私が感想を述べることは出来ないと強く感じる記録だった。何を言っても、上滑りな内容にしかならないと・・・でも、私は知ってしまった。 知ってしまったからにはしっかりと記憶し、知らない人々に伝えなければならない。同じ子を持つ母親として。『彼が私に遺していったものを私は放置することは出来ない』2017/03/05
フクミミ
10
なんてインパクトのあるタイトルだろう。 佐々さんのように社会的にマチュアであり、行動力もある知的な女性でも、この国で重度の障害児の母親になるという事は、我が子の死を願ってしまう程の苦しみを生みだしてしまうのだ。 ほぼ母親に 科せられる育児の負担、融通のきかない行政のサービス等、日々の戦いにしだいに摩耗し、追い詰められ、無理心中するギリギリのところで踏みとどまっている心境が、率直な言葉で書かれている。重く辛い本だが多くの人に読んで欲しいと思う。2016/05/19
みー
8
余りにも自分の子育てと重なって・・「どうせ亡くなるのなら、思い出が少ない早いうちがいいのに・・」とか・・懸命に生きているわが子を抱きながら、漠然とそんなことを考えたり・・泣いてばかりで全然寝ないわが子を、グースカと寝る旦那の布団に投げつけたり・・一日にまとまって取れる睡眠時間が、多くて2時間、終わりが見えなくて途方に暮れたんだったなー。常に病児と一緒に入院していたものだから長男には忘れられたり・・泣きたい事だらけだったなー・・本当にこれは、当事者じゃないと分からない事実。。。2017/03/21
Rammstein
6
脳性マヒとなった障がい児を育てていく苦悩を如実に記載している。明るい未来を思い描いても、急にこのような事態が生じるのだから、今を精一杯生きることが大切であることを尚くんから学んだ。障がいのある子どもを育てていく社会福祉が少なく、個別の意思を尊重するという心のバリアフリーが重要ではないか、と筆者は述べる。/ 障がいを持って生まれた子どものケアが完璧にできる母親なんかいない。「大変だね」とか「あなたがお母さんだから、選んで生まれてきた」とかいう上辺だけの同情じゃなくて、代わりに書類関係をする手助けが必要と思う2019/02/14
Hiroki Nishizumi
5
当事者でなければ本当のことは分からないと感じる。読むのも辛いところもあるが、そこですら当事者の思いとは隔絶しているのだろうな‥‥2016/11/09