内容説明
一九七一年に出版されたジョン・ロールズ『正義論』は、二〇世紀政治哲学の名著であるだけでなく、近年のテレビや出版におけるサンデル『白熱教室』での正義論ブームの中で新たな注目を浴びている。本書は、そんな大著を先導役にしながら、仕事、結婚、家庭、教育などいくつもの格差が循環的に絡まりあう現代の「格差社会」で働くことの意味を考えていく。ヘーゲルなどを参照した哲学・倫理学的熟考を出発点とし、ロールズの構想していた「財産所有の民主制」という社会政策の検討を経由しながら、最後は本書なりの「正しい労働」を導き出していく。
目次
序章 「格差の時代の正義論―働かないのは不正義なのか?」
第1章 ロールズ『正義論』の提示した問題の重要性とその背景
第2章 『正義論』を取り巻く思想潮流
第3章 「格差」と正義論―ロールズならどう考えるか
第4章 『正義論』と労働
終章 ロールズの正義論は現代社会で有効なのか?
著者等紹介
福間聡[フクマサトシ]
1973年生まれ。明治大学法学部法律学科卒業、東北大学大学院文学研究科博士課程(哲学専攻)修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院人文社会系研究科特任研究員、立教大学コミュニティ福祉学部助教などを経て、高崎経済大学地域政策学部准教授。専門は社会哲学、倫理学、応用哲学、死生学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんすけ
18
ロールズの『正義論』に関連する本は数多あるが、本書は親しみやすく、考えさせられるところも多かった。タイトルに、《「格差時代」の労働論》とあるように、現代の大きな問題を取り上げ、ベーシックインカムの重要性を説いているからに違いない。 今の時代は年々悪くなるばかりで、日本人の大半が乞食か生活保護者となることも考えられる。 それは20代の勤労者の平均年収が200万円と気絶しそうな額であることからも判る。ぼくの20代だった頃の半分以下なのだ。 2024/04/11
ステビア
10
ゼミでこれから輪読。あまり説得されなかった。これ系の入門としては悪くないかも。2014/10/04