内容説明
今なお日本が引きずり続けている「満州国」の幻影。13年5カ月にわたって存在し、夢のように消えた「国家」とその残像を詳解する。
目次
1 「満洲国」の成り立ち
2 日本にとって「満洲」とは何だったのか
3 満洲国の政治と経済
4 満洲国の開拓
5 満洲国の生活
6 満洲国の文化
7 その後の満洲国
8 戦後日本と「満洲国」
著者等紹介
川村湊[カワムラミナト]
1951年2月、北海道生まれ。文芸評論家。法政大学法学部政治学科卒。法政大学国際文化学部教授。主な著書『補陀落』(作品社・伊藤整文学賞)、『牛頭天王と蘇民将来伝説』(作品社・読売文学賞)など
辻下浩二[ツジシタコウジ]
1952年、福井県敦賀市生まれ。広告エージェント会社などを経て、85年(有)ホワイトスペース設立。主な受賞=74年毎日広告賞公共広告部門特選。77年第1回より第3回連続ナーク展入賞、入選。80~82年第8回ワルシャワ・第4回ラハティ・第5回ブルノ・ポスタービエンナーレ入賞、入選。83年第29回秀作車内ポスター展入賞。92年日刊工業新聞企業シリーズ広告1席(岩谷産業)。94年PDCインターナショナルファイナリスト入賞。00~05年21~25回国際読売漫画大賞入賞2回入選2回佳作2回(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
10
満洲2。良い入門書。政治経済体制だけでなく、文学・漫画などの文化領域について紙幅の多くをさいていて好感。たとえば、満洲は戦前の転向文学者の溜まり場になっていたとか、甘粕がそういった人たちをこころよく受け入れていたとか。著者いわく、満洲はモダンとコロニアルとエキゾチックが混ざったところで、さらに戦後ノスタルジーが加わったと。なるほど。2014/01/21
星辺気楽
3
幻の帝国満州についてとくに文化的な側面を強調してあり、通常の入門書とはやや趣を異にするが、斬新的で面白い。ただ引き揚げ時の悲惨さや日本人の加害についてはもっと切り込んでほしかった。2014/04/16
Nick Carraway
2
「FOR BEGINNERS」というシリーズ名通り、満州国の概要がとても分かりやすく書かれてある。戦後の経済政策、自民党政治に、「満州国は私の作品」と言った岸信介の野望や人脈(血脈)が脈々と息づき、現在の安倍政権に至り、まだ完結していないこと、かつて満蒙開拓青少年義勇団に志願した竹内精一が富士ヶ峯開拓団の一員として入植した上九一色村、そこにオウム真理教が疑似国家を作り上げようとしたことと満州国の類似性など、現代に息づく満州国の亡霊の存在を見せられたような気がして、寒気がした。2019/10/25
いのうえ
1
著者は文芸評論家であって歴史学者ではないので、入門書の筆者としては不適切だと思わざるを得なかった。最終章の説明はかなり苦しく、オウム真理教と満洲国を並べて論ずるのはさすがに無理筋で、読みながら何度も首を傾げた。この手の本で参考文献リストがない(推薦図書リストのようなものはあるが…)のもどうなんだろうか……正直、満洲のことを勉強するならもっといい本がある気がした。2023/07/30
ひい
0
日本の持つ「建前と本音」が凄くわかりやすい。グローバリゼーションと言葉を変えて今もある。ちゃんと意思を持たないと加害者になってしまう。2013/05/08