死体検案ハンドブック

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  • サイズ A5判/ページ数 368p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784765311854
  • NDC分類 498.94
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 近年の阪神大震災や交通事故、犯罪の多発により、また社会の高度成長や複雑化により、異状死は増加の一途を辿っている。また、変死体(不自然死)といってもその6割以上は病死であるが、その判定には困難が付きまとう。医師には検視・検案・法医解剖により、死亡時刻・死因・種類などについて医学的・客観的に判定しなければならない機会が以前にもまして多くなってきている。したがって、異状死体の検視や検案の実務を適切に行うことは、今や法医学者・病理学者・警察医だけではなく、救急医、一般の臨床医、現場の調査官(警察官)まで広く求められてきているのが現状である。
本書は、そのような実務の現場で利用される際のハンドブックを意図して、多数の写真を掲載し、記述内容も極めて具体的・役立つ情報に徹している。医師のみならず、異状死体の検視や検案にかかわる警察官、司法、法曹関係者にとっても幅広く活用できるはずである。また、ロースクールや医学部学生にとっても卒後に亘って使用できる内容になっている。    

《目次》
1章 検案等をめぐる法的諸問題 (田中 圭二)
 1.「死亡診断書」か「死体検案書」か
 2.検案とは
 3.「異状死体」の届出
 4.「異状死体」に対する取扱い―「検視」の問題も含めて
 5.補遺―「死産」の場合の検案等
2章 死体発見現場の見方 (近藤 稔和)
 1. 基本的事項
 2. 現場の観察
 3. 資料収集
 4. 資料の整理と管理
3章 死体の見方 (的場 梁次)
 1.死体検案の実際
 2.死体検案における感染症の注意事項
4章 死体現象・死後経過時間 (杉山静征・巽 信二)
 1. 早期死体現象
 2. 晩期死体現象
 3. 外表所見からの死後経過時間推定
5章 損傷の見方 (前田 均・近藤稔和)
 1. 損傷の種類と見方
 2. 開放性損傷のある死体の見方
 3. 非開放性損傷のある死体の見方
 4. 身体各部位の損傷の見方
 5. 交通事故損傷の見方
 6. 転倒・転落損傷の見方
6章 損傷と生活反応 (青木 康博)
 1. 生前の損傷と死後の損傷
7章 窒息死体の見方 (青木 康博)
 1. 窒息の経過
 2. 窒息の原因
 3. 窒息死の診断
 4. 頸部圧迫による窒息死体の見方
 5. 溺水死体の見方
 6. その他の窒息死の見方
8章 中毒死体の見方 (赤根 敦)
 1. 一般的な見方
 2. 毒物とその症状
 3. 一酸化炭素による中毒
 4. 青酸化合物による中毒
 5. 農薬による中毒
 6. 催眠鎮静剤・精神安定剤・抗うつ剤による中毒
 7. アルコール中毒
 8. 覚せい剤中毒
9章 異常環境温度に基づく変化 (西 克治)
 1. 高温による急激な影響
 2. 高温環境の全身的かつ持続的影響
 3.低温環境の局所的影響
 4.低温環境の全身的影響
10章 電気による障害 (西 克治)
 1.感電
11章 嬰児殺 (福永 龍繁)
 1. 嬰児殺の法的取扱い
 2. 嬰児の発育程度
 3. 生産、死産の見方
 4. 死因
 5. 墜落産(墜落分娩)
12章 被虐待児症候群 (福永 龍繁)
 1. 歴史と種類
 2. 虐待の加害者および動機・原因
 3. 死体所見
 4. 臨床医としての注意点
13章 内因性急死 (的場梁次・黒木尚長)
 1. 内因性急死とは
 2. 内因性急死の実際症例
 3. 内因性急死の検死
 4. 内因性急死の現状
 5. 疾患別内因性急死
14章 乳幼児突然死症候群 (西 克治)
 1. 定義
 2. 現状
 3. 検案にあたっての注意点
 4. 解剖所見
 5. 診断にあたって
 6. 疫学
 7. 原因解明の歴史
15章 死後損傷・蛆虫の発育程度 (福永 龍繁)
 1. 動物による損壊
 2. 小動物による損壊
16章 物体検査 (杉山 静征)
 1. 物体検査(白骨)
 2. 物体検査(毛髪)
17章 個人同定 (杉山 静征)
 1. 身体的特徴
 2. 性別判定
 3. 年齢推定
 4. 個人的特徴
 5. 復顔法とスーパーインポーズ法
18章 血液型 (鈴木 廣一)
 1. 遺伝的多型形質
 2. 血液型
 3. 糖鎖で構成される血液型抗原
 4. アミノ酸配列で構成される血液型抗原
 5. 血清型・酵素型
 6. DNAの多型
 7. 多型形質を用いた鑑定
19章 性の法医学 (鈴木 廣一)
 1.性と性分化
 2.性と法
 3.生殖機能と法
 4.犯法的性行為
 5.性欲の異常
20章 死体検案書の書き方 (前田 均)
 1. 一般的事項
 2. 死体検案書作成にあたっての留意事項
 3. その他の留意事項
 4. 死胎検案書の書き方
21章 医療関連事死 (黒木 尚長)
 1. はじめに
 2. 異状死ガイドライン
 3. 医療関連死の死体検案
 4. 諸外国における医療関連死と届出の事情
 5. 剖検の必要性
 6. 「診療に関する異状死」に対する臨床医の意見
 7. 今後の展望