内容説明
「ある朝、突然呼び出され、処刑台の露と消えた死刑囚たちの恐怖と苦しみ。役所の中で公然と処刑する刑務官たちの悲痛と苦悩。死刑制度を廃止することは、先進国日本の急務であり、私の命をかけたライフワークである」処刑に立会った元看守長の手記。
目次
1 東北地方・S拘置所(死刑囚処遇の実態;執行言渡しは処刑直前に;こんな変わったケースも)
2 関西地方・O拘置所(死刑囚処遇の実態;O拘置所とS拘置所の処遇の違い;O拘置所の死刑囚たち;「処刑日」二日前の執行告知―木曜日;処刑の前日―金曜日;処刑される日―土曜日の午前中)
3 塀の中のカウンセリング(受刑者のカウンセリング;仮釈放の人間模様)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴
15
「死刑」関連本が続いた。個人的には死刑に賛成とも反対ともいいがたいが、この著者のいう「反対」はちょっと無理がある気がした。確かに著者が見てきたように死刑囚が改心していく場合は少なくないだろう。だけど、長々と生かしておくことに税金が使われていく。罪人が多少は不自由である場所ではあるものの、少なくとも衣食住に困らず、そして時々は娯楽も楽しんでいるのに、税金払うのに一生懸命働く私達って何なのだ?2015/06/08
ラスコリ
2
Cさんの部分を読んだ時に、本当にこの人に対して国は人殺し(死刑)を執行しなくてはならないのかと疑問を感じたよ。2014/03/07
Toshiharu Hayashi
1
刑務官として実際の死刑に立ち会ってきた経験からまとめた本。執行当日に告知する、2日前に告知して準備させる、とか刑務所によって運営が異なること等は運営してきた人の経験に基づくだけにリアル。筆者は死刑の意味を疑問視しているようですが、人を殺しても死刑にならないとなると被害者や関係者は納得できないという単純な感情の部分をどう考えるのでしょうかね。私なら絶対に納得できないですが2018/07/16
抹茶ケーキ
0
50年代に看守長をやっていた人の体験記。当時の様子がわかって面白かった。囚人が反抗的だったけど、なんかこういうことを言ったら「おみそれしました」ってなって指示に従うようになったとか、全体的に話やセリフ回しは昭和っぽいけど。今は、娯楽に関しても自由に関しても相当厳しくなっているらしいので、昔は本当におおらかだったんだなと思った。良いのか悪いのかはまた別の話だけど、昔の方が「人情味」みたいなものはあったんだろうなと感じた。2016/11/26