内容説明
古人に対する感激、畏敬、随順、沈潜。ここに今人の魂は、直ちに古人に触れ、古人の魂は、今日に復活し来る。
目次
第1 西行
第2 実方
第3 木曾
第4 判官
第5 陶淵明
第6 白楽天
第7 韓退之
第8 芭蕉の俤
附録 銀杏落葉
感想・レビュー
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ダイキ
3
「夜は狐が出たといふ明治の中頃の様子は、私共にしても、たゞ昔話として聞くのみであつたが、〔略〕野趣は、その隅々に存してゐた。従つて聴講に疲れ、読書に倦んでも、〔略〕しばらく校庭の芝生に腰をおろして、咲きみだれる桜の花を眺めたり、銀杏並木から池のあたりを一廻りして来れば、忽ちにして清涼の気分にかへる事が出来るのであつた。殊に秋の夕暮、二階の教室の窓にもたれて、遥かに富士山の崇高なる山容を望みつゝ、刻々に変りゆく空の色に、様々の空想をほしいまゝにしたのは、忘れがたい想出である。」(坪井先生)2022/03/08