内容説明
キリスト教とユダヤ教の正典となった「旧約聖書」は、どのような書物なのか。いつ、どこで書かれ、何を伝えようとしているのか。古代オリエント世界における宗教と文学、文書伝承の歴史を辿り、多様にして膨大な旧約聖書文書群を解読する。
目次
「一点一画も落ちてはならない」―旧約聖書の本文
一つの図書館としての書物―旧約聖書の正典
捕囚後のユダヤ教の宗教的伝承文学としての旧約聖書
古代イスラエル文学の遺産
前六世紀の偉大な編集諸著作
旧約聖書神学の諸端緒―『エレミヤ書』
律法の神学的意味
捕囚から帰還した神学者とエルサレムの神殿学派の主導権争い―『エゼキエル書』
ディアスポラの中心としての神殿―祭司文書
トーラーの固定化―モーセ五書の編集〔ほか〕
著者等紹介
レヴィン，クリストフ［レヴィン，クリストフ］［Ｌｅｖｉｎ，Ｃｈｒｉｓｔｏｐｈ］
ミュンヘン、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学の旧約聖書学教授
山我哲雄［ヤマガテツオ］
１９５１年東京生まれ。１９７６年早稲田大学第一文学部人文学科卒業。１９８５年早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。１９７８年‐１９９０年埼玉大学、早稲田大学、立教大学、東京女子大学等で講師を務める。１９９０年北星学園大学経済学部助教授。１９９５年北星学園大学経済学部教授。２０００年北星学園大学大学院、文学研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
沖縄電鉄社長
1
「十戒は預言書の『後』に成立した」という一文をはじめ、旧約聖書の成立について、従来の説をことごとく覆すラディカルな概説。2022/03/28
Masataka Shindo
1
現代の膨大な旧約聖書は、元々は神の言葉を集めた原文のみであったけれども、預言者や編集者による注釈や解釈が様々付け加えられ、現在の姿になった。それは、旧約聖書がそれのみでは意味を発せず、正しい解釈によってのみ運用されるべきことを示している。現代においても尚、旧約聖書に関する議論や二次的書物が作られ続けるのはそのためである。それぞれの編への解説すら加えられており、専門的な一冊だった。初学者の自分は知識をつけて再読が必要か。2013/04/25
