水の透視画法

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  • サイズ B6判/ページ数 334p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784764106321
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

日常に兆すかすかな気配を感じて、作家は歩き、かんがえつづける。突然の大地震と大津波、眼にしたことがないそら恐ろしい光景。それは結末ではなく、新たなはじまりなのか。ことばから見はなされた現代世界を根源から省察する珠玉の作品群。

目次

予感と結末
絵入り洋燈と観覧車
栴檀の大樹の下で
永久凍土のとける音
乳白色の暗がり
不都合な他者について
美しさの戦慄
プレカリアートの憂愁
青い炎
幻夢をかすめゆく通り魔〔ほか〕

著者等紹介

辺見庸[ヘンミヨウ]
1944年宮城県石巻市生まれ。1970年共同通信社入社。北京特派員、ハノイ支局長、外信部次長、編集委員などをへて、96年退社。その間、78年中国報道で日本新聞協会賞、87年中国当局から国外退去処分を受ける。91年『自動起床装置』で芥川賞、94年『もの食う人びと』で講談社ノンフィクション賞、2011年詩文集『生首』で中原中也賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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寛生

45
【図書館】一文一文が丁寧に辺見の手で紡がれる。それは、白川がいう「歌」、つまり訴えかける祈りのよう。その文面は読むこちらに慎重で丁寧な読む行為を求める。時間がかかった。遠い昔からの音なのか、それとも遥か彼方の未来からの声なのか、判らない。だが、その声は人間が人間たる最もその根源に呼びかける。辺見の文から立ちあがる音に神話や妄想、判りきったような倫理は耐えきれず崩れ落ちる時、水の上を動く静かな霊の音が聞こえてくる。何が秩序で混乱かさえも判らない今日、だからこそ誠実になれと辺見の文が語りかける。2014/12/13

おさむ

33
花、本、映画、そして世界の時事問題が散りばめられた随想集。新聞連載のコラムだが、歳をとられてお身体が不自由なためか、なんともいえぬ物悲しさが全体に漂う。独特の世界観と裏打ちする哲学、時にもんどり打つ文体‥。辺見さんの文章のすごさを改めて実感する。うちの亡き父と同い年だったんだ。2018/11/07

ぼんくら

6
2008年3月から2011年3月まで共同通信が配信した連載の単行本。その時その時を、過去と未来を見据えながら、大切な事を語り続ける。正義を語るその声は、時に気弱に聞こえる。日本人に何かを訴えるということは、きっと虚しい事なんだろう。戦争のことどころか、つい半年前の原発事故でさえ風化しつつある。世事に疎い私には、よくわからないことも多かったけれど、読んで良かったと思う。2011/10/13

メルセ・ひすい

2
15-43 初出・共同通信‘08.03~‘11.03連続企画74回分 日常に兆すかすかな気配を感じて、作家は歩き、考え続ける。突然の大地震と大津波、そら恐ろしい光景。それは結末ではなく、新しい始まりなのか。言葉からみはなされた現代世界を根源から省察する。名前が売れると… そこそこでも。  2011/07/16

zeroset

1
思想的に同意できない意見もあるが、美しい文章と真摯な態度には襟を正される思いがする。2013/01/06

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