内容説明
ソ連はなぜ対日参戦したのか。未公開のロシア外務省公文書館などの資料をもとに、日中戦争前夜から太平洋戦争終結にいたる複雑きわまりない日ソ関係を再構成、1937‐45年の外交史を塗り替える画期的ドキュメント。戦争の時代を振り返り、21世紀の日口友好関係への道筋を探る。
目次
序章 「支那事変」前夜の世界と極東の情勢
第1章 日中戦争とソ連―ソ連を対日戦に引き込もうとした蒋介石の試みと米英の政策(1937年7月―39年8月)
第2章 第二次世界大戦の勃発と日ソ関係(1939年9月―41年6月)
第3章 独ソ戦の開始と極東におけるソ連の安全保障(1941年6月22日―41年12月8日)
第4章 太平洋戦争とソ連―ソ連を対日戦に引き入れようとする連合国の試み(1941年―43年)
第5章 対日参戦に向けてのソ連の政策展開と連合国の姿勢(1944年―45年4月)
第6章 ソ連への停戦仲介依頼―ソ連の対日参戦に対する米政府内の動揺(1945年4月8月)
第7章 ソ連の対日参戦―なぜ1945年8月9日か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
9
タイトルは日ソだが視野はもっと広く、中ソや米ソ関係にも多くの頁が割かれている。とりわけ、前半部では蒋介石の存在感が意外なほど大きい。日本と戦う中国に「ソ連版レンドリース」とでも言うべき支援を行う一方、言を左右にして対日参戦要求を断り続けるスターリンとの駆け引きは、本書の読みどころのひとつ。スターリン×蒋介石の起伏に富んだ関係性は、世界史上でもっと注目されてもいいように思う。2024/03/11
hurosinki
2
日ソ関係が主軸の37−45年までの外交史。日中戦争が勃発すると蒋介石が日ソ戦争に引き込もうと中ソ相互援助条約の成立を企図するが、ソ連はそれをのらりくらりと交わし続け、日本(満洲国)との国境紛争はいずれも全面戦争には至らない。国境紛争の中でも最も規模が大きいノモンハン事件の終了直前に独ソ不可侵条約が締結される。リッベントロップ独外相の日政府への日ソ関係正常化の働きかけや、電撃戦の成功に影響されたことで40年半ばから日ソ関係に改善の動きが現れ、日ソ中立条約が締結される。これは中ソ関係の悪化を引き起こした。2020/03/04