内容説明
国連事務総長から祖国オーストリアの大統領に。ワルトハイムの輝かしい経歴の中に突然浮かび上がった疑惑。アメリカ公文書館に残された１枚の告発文書が意味するものは？
目次
第１部 前途ある青年（ワルター・ワツラーウィクの息子；ヒトラーのオストマルクで；ドイツ国防軍の英雄；コザラと呼ばれる場所；リロ、クルト、フェルドロス教授；機械の歯車；ワルトハイム博士；変貌をとげた男；最後の退却）
第２部 過去を捨てた男（バルハウスブラッツへ；非ナチ化；パワーポリティックス；ユーゴスラビアの陰謀；窮地を脱して；過去を捨てた男；よみがえるワルトハイム中尉；真実に直面して）
三年越しのワルトハイム疑惑―日本語版に寄せて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yasuhisa Ogura
1
訳者あとがきにもあるように、まさに「読み始めたら最後、中断する時間も惜しい」。本書は、第2次大戦中の戦犯疑惑の付きまとうクルト・ワルトハイム第4代国連事務総長の半生を追いかけたもの。それは、オーストリアの現代史でもある。それにしても、ドイツ軍の軍服を着用した将来の国連事務総長の写真は、絵になる。ワルトハイム氏がドイツ軍将校としての経歴の一部を語ってこなかったことは事実であるが、指摘されているようなユーゴでの残虐行為に直接関与したことまでは明らかにされていない（間接的に関与したことは明らかにされている）。2013/11/08
