精神科のプログラム開発 - リハビリテーションのすすめ方

精神科のプログラム開発 - リハビリテーションのすすめ方

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  • サイズ B6判/ページ数 174p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784763920591
  • NDC分類 493.72
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》  Fidler夫妻の最初の翻訳書「精神医学的作業療法」が出版されたのは,我が国に作業療法士がはじめて誕生した1966年である.当時,我が国の精神病院でも作業やレクリエーションが活発に行われていたが,そのほとんどは画一的で指示的色彩が濃い初歩的な集団活動であった.「作業はもうひとつの言語である」という考え方に立脚して精神障害者に働きかけようとするこの理論と実践の書の出現は,当時の作業療法関係者に新鮮な驚きを与えたものである.  本書は,G.S.Fidler の著書としては30年ぶりの邦訳出版であるが,その後の彼女の経験,特に州立病院改善計画の立案と実行責任者としての経験に基づいた一つの提案の書であり,実践の書でもある.先の訳書とは趣きを異にして,精神病院をリハビリテーションの思想に根ざしたものにするにはどのようなことをしなければならないかという一点に問題を絞り,極めて実利的な観点から具体的な手法を示している.そのため,細かなリハビリテーション・プログラムの組み方や評価の仕方,さらには病院全体の人事・予算管理までを幅広く網羅する完璧なマニュアルとなるであろう.作業療法士としての最初の仕事を州立精神病院で開始した彼女にとって,精神病院の治療構造の改革は一生の課題であったはずであり,それが長い道のりを経てようやく結実したのが本書である.  我が国では1993年に「障害者基本法」が成立し,今年は「精神保健法」が「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」へと改正され,精神保健分野のリハビリテーションも急速に発展するものと期待される.しかし,精神病院におけるリハビリテーションにはさまざまな障壁がある.このことは我が国における特殊事情とばかりは言えない.州当局の要請で病院リハビリテーション・サービス改善のために久しぶりに州立病院に戻った G.S.Fidler は,「まるでタイムトンネルに入るような感じであり,わずかな例外を除けば,病棟も,患者も,日課も,職員も,私が30年前に立ち去った時と寸分変わらぬように見えた」と述懐している.作業療法士など専門職の配置が比較的恵まれているアメリカにおいてさえ精神病院の治療構造の変革は難しいのである.本書は,このような厳しい条件のなかで,どのようにして旧態依然たる精神病院をリハビリテーション中心の病院へと変革できるかという難問に対する解答である.  訳者の冨岡詔子氏は臨床家・研究者・教育者として広く活躍する作業療法の,特に精神障害の分野における権威である.「作業療法学全書」の編著,「新・作業療法の源流」の編著など著作も多数ある.おそらく精神病院の治療構造の変革への熱望が,派手な装いが一切ないこの書の翻訳へと駆り立てたものであろうと推測し敬意を覚える.  この書が作業療法士はもとより精神病院に関心を持つ多くの方に読まれ,いつの日か,我が国のすべての精神病院がリハビリテーションの思想に根ざした生き生きとした施設へと生まれ変わることを心から願う.     (「推薦の序」より)    《目次》 1 リハビリテーションの目的 2 プログラムの原則 3 プログラムの理念と構造 4 プログラムの構成    活動療法/教育/作業療法/職業リハビリテーション/理学療法/聴能・言語療法 5 職員配置と指導体制 6 プログラムの組織と運営 7 依  頼 8 評価とアセスメント 9 プログラム評価と質の保証 10 予算管理 11 プログラムの企画と変革 12 課題グループと活動グループのひな型(プロトコール)    余暇活用(Leisure Planning)    青年グループ(Young Adults Group)    職能開発I(Work Skills Development I)    職能グループ(Work Skills Group)    職業前訓練(Prevocational Training)    職能開発II(Work SkillsDevelopment II)    課題グループ(Task Group)    仕事的課題技能グループ(Task Skills-Work Group)     家庭生活プログラム(Home Arts Program)    自立生活技能開発(Independent Living Skill Development)    自立生活(Independent Living)    基礎的課題技能グループ(Basic Task Skills Group)    感覚運動プログラム(Sensorimotor Program)    感覚統合プログラム(Sensory Integrative Programs)    作業療法の感覚運動統合とスクリーニンググループ(Occupational Therapy Sensorimotor Integration and       Screening Group)    作業療法課題グループI(Occupational Therapy Task Group I)    作業療法機能的課題グループII(Occupational Therapy Functional Task Group II)    見当識グループI(Reality Orientation I)    見当識グループII(Reality Orientation II)    女性のための就職教室(Career Preparation for Women)    ジョギングプログラム(Jogging Program)    身体訓練グループ(Physical Exercise Group)    チームスポーツ(Active Sports)    散歩・ハイキングプログラム(Walking/Hiking Program)    基礎運動グループ(Basic Level Movement Groups)    音楽一般グループ(General Music Groups)    自己表現絵画グループ(Self-Expression Art Group)    病院コーラス(All-Hospital Chorus)    時事問題(Current Events)    温室・園芸グループ(Greenhouse/Garden Group)    思春期プログラム(Adolescent Service Programs) 参考文献 引用文献 付  録あとがき