内容説明
細密画家の第一人者であり、「プチ・ファーブル」として世界に知られる画家・熊田千佳慕は、98歳で亡くなるまで一心に虫を描き続けた。小さないのちを描きとめる秘訣は、「見て、見つめて、見きわめる」こと。その真摯な姿勢を支えた、制作のための勉強帖をここに再現する。驚異的な細密技術の陰には、知られざる地道な努力があったのだ。本書では、軽妙にまとめた虫の生態と、ユーモア溢れるイラスト、実際に絵本に掲載された作品群により、絵本ファーブル昆虫記の製作過程が楽しめる。
目次
ヒジリオオフンコロガシ(通称:スカラベ・サクレ)―糞は、くるくるまわって積みあがる。
センチコガネ(スジセンチコガネ/クロセンチコガネ)―日が暮れると、新しい糞を探しに飛びだす。
オオクビオオフンコロガシ―糞玉はたいしてていねいにはつくらない。
ヒラタタマオシコガネ―この虫はその場で糞の食事をとる。
アシナガタマオシコガネ―オスは退屈しのぎに、糞玉をくるくるまわす。
イスパニアダイコクコガネ―子どもが外へ出るまで母虫は四ヶ月間もなにも食べない。
ツキガタダイコクコガネ―牛の糞が好物。
ヤギュウオオツノコガネ―幼虫がサナギになるまでに一年かかる。
エンマコガネ―おとなしい糞虫のくせに、ケンカ道具を持っている。
ミツカドセンチコガネ―頭の上には羊の糞が、ソーセージのように詰まっている。〔ほか〕
著者等紹介
熊田千佳慕[クマダチカボ]
1911年(明治44年)横浜市生まれ。細密画家・童画家。幼少時代は病弱で、庭先で虫や花と遊んで過ごしていた。この「小さな世界」との出会いと、父から聞いた「ファーブル」の存在が童画家の道を目指す原点となる。東京美術学校(現・東京藝術大学)鋳造科在籍のまま、山名文夫に師事し日本工房にデザイナーとして入社。同僚の土門拳とポスターなどを数多く手がけた。1945年、結婚から八日後、横浜大空襲で焼け出され、父も喪う。厳しい現実に直面するも、定職を捨て絵本の世界へ身を捧げる決意をする。驚異的な細密描写のため大変な時間を要し生活は困窮したが、七十歳で「ファーブル昆虫記」の作品がボローニャ国際絵本原画展に入選し、一躍脚光を浴びる。二〇〇九年八月、自宅にて誤嚥性肺炎ののため、九十八歳で死去。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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