内容説明
いま、都市に求められるのは、敷地やエリアに現れた価値を都市全体の魅力へとつなぐためのプランニングだ。
目次
はじめに なぜ小さな空間から都市をプランニングするのか
1章 小さな空間のつくり方から学ぶ(前例によらない行政の挑戦;ビジョンを示す民間の選択;自負心が支える市民の営み)
2章 小さな空間と大きな都市の関係をとらえる(プランニングを進める空間的技法と計画的思考の両輪;デザインスキーム―低成長期の都市を変える空間的技法;プランニングマインド―都市全体を見つめる計画的思考)
3章 小さな空間から都市をプランニングする(小さな空間の価値を大きな都市につなげる10の方法;小さな空間を連帯させて都市の効果を高める;小さな時間を積み重ねて都市の魅力を育てる;小さな共感を生むことで都市の全体像を描く)
おわりに 都市の未来に対する期待と自負
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
5
都市をリセットして一から設計するのではなく、既存の都市の一部分に手を入れることから都市を魅力的なものにしていく国内16の事例(大半が西日本)を紹介し、そのポイントを10点に整理した一冊。小さなところから少しずつ時間をかけて町を変えていくという地に足の着いた姿勢は好ましく、またそれを実現するためのスキームも丁寧に解説してあります。可能性を示すことが主眼だからか、基本的に事例紹介ではよいことだけが述べられているため、逆に思ったよりうまくいかなかったような事例についても知りたくなりました。2019/05/17
takahiroyama3
2
良書。初めから全体を論理で構成する都市計画を、具体的な解を重ねた先に都市全体を形作ることを志向する一冊。背景には、完全な全体計画の不可能さ、ツボを押さえるような運動の可能性ががあげられます。豊富な事例分析をもとに、理論と手法が整理されています。通読により、経済力や人口圧力が弱まっている昨今、抽象論が行動を牽引しにくい中、小さな空間の具体的な解というリアリティが、重たい都市を動かす唯一の方法として提案されていると理解しました。欧米で近年みられる都市論とも符合するもので、今後の潮流を作る一冊と捉えられます。2020/04/28
hide10
1
「小さな空間」の事例×16を紹介したのち、後半でタイトルにあるプランニングを考察するという構成。必要最低限なインフラはある程度整備され、維持管理・減築の波が押し寄せるなか、生活の質を高める空間づくりの比重が高まっている。事例に上がるのは三者三様のアプローチで町を動かす人達。既存建物やスポット的な空き地の活用。従来のプランニング対象の外側からまちを動かしていくような機運として捉えました。 2021/08/14