内容説明
世界最古の木造建築が現存するのはなぜか。職人たちが追求した日本建築の美しさとは。日本の保存・修理はいかに合理的か。―日本の古建築はなぜ強く美しいのか。文化庁文化財調査官が迫る先人の知恵と技。
目次
第1章 伝統木造建築の歩み(古代―大陸からの技術の移入;中世―技術の昇華、構造のダイナミックな展開;近世―装飾・荘厳性・経済性・ディテールの追求)
第2章 伝統木造建築の特徴(建築に使用された木材;構造―木材の組み方;加工技術)
第3章 伝統木造建築を守り、伝える(日本独自の保存・修理;伝統木造建築を守る制度;伝統木造建築を守る人々;修理の実際;伝統木造建築を社会で守るために)
著者等紹介
村田健一[ムラタケンイチ]
文化庁文化財部参事官(建造物担当)付主任文化財調査官。1955年福井県生まれ。福井大学工学部建築学科卒業、東京工業大学大学院修士課程修了。(財)文化財建造物保存技術協会、文化庁、奈良国立文化財研究所を経て、2002年より現職。専門は日本建築士、文化財保存(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chang_ume
3
古建築の構造解説。「虹梁は大斗で受け、桁は三斗で受ける」といった説明の言葉が実に端的です。解体修理など文化財行政の現場を活かした内容。社寺建築の現地観察で構造面からの理解を助けてくれます。「井桁構造」から「柱梁組構造」へ変遷はちょっと衝撃的なくらい興味深い。建築はいかに自重を支えてきたのか。いっぽうで初出が誌面連載のせいか、内容がやや細切れで包括的な解説に欠けるきらいも(箇所によっては相当の読解ストレス)。概論的内容の第2章から先に読むことをお勧めします。2017/12/05
subabai
2
伝統木造建築を様々な視点から解説する。興味深かったのは、建造物のサイズに関する話と木材に関する話。 当たり前ではあるが時代を経るにつれ技術は向上するが、現代のように科学的な視点ではなく、経験的に選択されたことを考えると驚きである。 後半は保護・継承に関する話であったが、どの分野にも共通なのだろう、便利、安価な物が受け入れられる中で、時間、費用のかかるものは衰退していく。そこに価値があろうとも。 地球環境を守るため、個人の幸福度を高めるためにも、もっとスローライフを意識できる社会になってほしいと感じる。2022/05/22
chang_ume
2
再読。二周目だとさすがに理解が収まりよいです。「古代からの脱皮」(野小屋と桔木の導入など)を中心に。現地巡検に出かけたくなる。組物をもっとしっかり把握せねばと。2017/12/25