内容説明
―トーマス・ベルンハルトは、いわゆる「非常識」を徹頭徹尾つらぬいた作家である。俗悪な外界との齟齬や衝突、生きてこの世にあることへの嫌悪や呪詛がモチーフとして渦巻く作品世界は、深刻な様相を帯びざるをえない。しかしながら、八方ふさがりの情況を容赦なくさらけ出す筆法など痛快なほどであり、登場人物の奇矯な言動を目のあたりにすると、読者もついふきだしてしまう。そして、常識がなんだといった心境になる。表題作「ふちなし帽」をはじめ、「ヤウレク」「大工」「クルテラー」ほかベルンハルトの秀作が詰まった重量感あふれる短篇集。
著者等紹介
ベルンハルト,トーマス[ベルンハルト,トーマス][Bernhard,Thomas]
1931年2月10日、オーストリア女性の私生児としてオランダのマーストリヒト近郊ヘールレンに生まれる。1943‐47年、ザルツブルクの全寮制ギムナジウムで寄宿生活を送る。1952‐57年、ザルツブルクの音楽演劇大学モーツァルテウムで声楽・演出法・演劇術を学び、卒業後フリーの作家となる。1963年、最初の長篇『霜』を発表。1967年、短篇集『散文集』で声価を確立する。1970年、ゲオルク・ビューヒナー賞を受賞。最初の戯曲『ボリスの饗宴』も発表し、以後エネルギッシュに劇作をつづける。1975年、自伝五部作の第一部『理由』を発表。1982年、第五部『子供』の発表をもって自伝完結。1986年、最後の長篇『消去』を発表、名声は国際的にゆるぎないものとなる。1988年、最後の戯曲『英雄広場』を発表。1989年2月12日、オーバーエスターライヒ州グムンデン近郊オールスドルフの自邸で死去
西川賢一[ニシカワケンイチ]
1942年12月20日、中国の済南に生まれる。1966年、東京外国語大学ドイツ語科を卒業。出版社勤務をへて、現在フリーのゲルマニスト、翻訳家
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