感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
6
「治安維持法は要するに現在に政治上の勢力を有して居る階級の人々の信念を絶対の真理と看做し、これに反対する思想を異端視して刑罰をもってその思想を抑圧せんとするもの」と喝破する美濃部達吉博士。全くの正論である。これに対し、国体を侵しかねない共産党憎しの一点で、情緒も絡めて蓑田が美濃部に牙をむく。こんな論理にもならない稚拙な言辞に美濃部が屈したのも時流だろう。しかし治安維持法の守備範囲は広かった。共産党のみならず真に善の団体も滅ぼした。賢者去る時国滅ぶのも必然である。後に蓑田は当然の報いを受ける。2019/02/04