出版社内容情報
「原罪」としてのエバ,聖母マリアの処女信仰,中世に始まった魔女狩り……キリスト教の中の女性差別は宗教改革でも克服されず,ヴィクトリア朝にまで至り,いまだその歴史を刻み続けている。西欧思想の根本的な問題をえぐる衝撃的な書。
序論
1 問題はセックス
2 結果としてのエバ
3 男性にとっての最終的解決―魔女
4 なぜ処女なのか?
5 なぜ殉教者に?
6 なぜ神秘主義者なのか?
7 エバの四つの顔
8 プロテスタントの解決―妻と母
9 未来 脱出?
内容説明
「情欲という悪魔」を抑圧するために捻出された「魔女妄想」と「聖なる婚姻・家族」は、遠い神話となったか?西洋キリスト教が育成した特異な「女性恐怖」の根源をえぐる。
目次
1 問題はセックス
2 結果としてのエバ
3 男性にとっての最終的解決―魔女
4 なぜ処女なのか?
5 なぜ殉教者に?6 なぜ神秘主義者なのか?
7 エバの四つの顔
8 プロテスタントの解決―妻と母
9 未来 脱出?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴィクトリー
6
欲望を蔑んだり、男より女を低く見る事は他の宗教でもよくあるが、西欧のキリスト教はイエスの死に意味を持たせる為に原罪と言う考えを作り出し、性や肉体に対する抑圧、更には女性への敵意を生み出した。それが、拒食症、SM的嗜好、魔女狩り、ヴィクトリア朝の性に対する潔癖症、等の様々な神経症的な現象を引き起こす。こういう本を読むと西欧の異常さを感じずにはいられないが、そこから近代文明が生れた事を考えると興味深い。「聖なる結婚」と言う考えはプロテスタントが発展させたもので、それまで結婚は厭わしい事だった、とは意外だった。2012/04/19
近江
0
キリスト教の女性観について指摘した本。1996年の本だがいま女性問題、キリスト教史、西洋史についての理解に強力に理解の深まる一冊。キリストは男女を差別をしなかったのに対して、一世紀の段階で女性に対する嫌悪、蔑視が解釈として入ったことを指摘し、十九、二十世紀に入るまでの二千年の女性との距離感を描く。特に処女/殉教者/神秘家/魔女としての4つのエバの顔として章分けして時代を負いつつ、女性と家、女性の社会進出やロマン主義との関係など民俗文化についても言及されている。2023/10/18
K
0
(1996,190.4)日本でも呪術・信仰はもとより宗教の世界でも女性は一段下だが、西洋でもそうであるという話。女性恐怖、女性神経症。ローマ・カトリック教会の修道院の尼僧経験ある英宗教学者。フェミニズムとの違いがよくわからない。The gospel according to woman のほうが副題か。Christianity's creation o the sex war in the west 訳(高尾利数)も相当なものを感じるが・・。2021/12/20
たろーたん
0
キリスト教の性のダブルスタンダートを現した本。性衝動を持つ女をエバ、悪魔と通じて男を滅ぼす魔女、怪しい神秘に耽る神秘家として男性世界から排除する。男性世界で認められるには、処女性を保持し、聖女として殉教者とならなければならない。性に奔放なら魔女として排除され、処女なら天使や聖女として男の下位の存在として認められる。まったくもって詰んでいる状態である。2018/10/14