目次
第1部 『カムイ伝』概論(『カムイ伝』は何を描こうとしたか;『カムイ伝』の舞台―日置藩はどこにある?;『カムイ伝』の差別論;日置藩の秘密とは?)
第2部 『カムイ伝』の人物論(「正助伝」;「苔丸(スダレ)伝」
個人の解放と挫折、そして死)
第3部 部落史と『カムイ伝』(近世の身分制度とかかわって;弾左衛門支配について;被差別民の仕事について;被差別民の役負担;『カムイ伝』と部落史学習)
補論 『カムイ伝』が映す世界―対談
著者等紹介
中尾健次[ナカオケンジ]
1950年、大阪生まれ。大阪教育大学教職教育研究開発センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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AICHAN
27
図書館本。期待して読んだのだが、内容はほぼ『「カムイ伝」のすゝめ』の焼き直しでがっかり。最後に著者の中尾氏と『カムイ伝講義』の著者の田中優子さんの対談が載っていて、それだけが新しかった。とはいえ、『「カムイ伝」のすゝめ』で少しだけ触れられていたこと、例えば被差別民は貧困ではなかったといったことなどがいくつかの例を挙げて論証されており、またそのことと関連があるが、近年の部落史観で誤った解釈がなされていたこと等を繰り返し指摘していて、それは私の知識を改めさせてくれて有益だった。2016/06/29
templecity
8
カムイ伝は、江戸初期の部落差別をテーマに白土三平が描いた漫画。白土は鬼籍に入ったが物語は終了していない。白土三平はペンネームで、幼少時に近くにいた軍人の名前が白土だった。部落出身の友人もいた。カムイが生まれた際に、父親は戸惑いの言葉として「部落の子だ」との呟きがある。また、多くの子狼の中に1匹だけ白狼が生まれて母親からもいじめられている描写もある。物語の中では人間は本来平等で身分制度は人がつくったという考えが貫かれている。自身も日本共産党に入党して平等な社会の実現の望んでいたようである。 2022/05/27
kitarou
0
旧版から改訂を加えて「部落史の視点」をきちんと盛り込んだといっているが、かなり牽強付会しないと部落史の観点からカムイ伝を読むことは難しい。今回、新しく付け加えられた「カムイ伝講義」を執筆した江戸文化の研究者・田中優子氏と筆者中尾健次氏との対談が面白い。「カムイ伝」も新たに15巻全集で読み返したくなった。2012/11/08