内容説明
本書は、中学校・高等学校レベルの英文法に対して、日本語の言語現象と照らし合わせることで、英文法に関する知識を増やし、一方で、日本語に関する理解を深めることを目指すものです。日本語と英語は意外なところに共通点がありますし、同じような現象に見えて微妙に異なるところも見られます。国語科と英語科の風通しを良くし、両者を関連づけて見られるよう分かりやすく解説しました。
目次
第1章 国語と英語の相互理解に向けて
第2章 英語から日本語の動詞・形容詞を知る
第3章 英語から日本語の名詞・代名詞を知る
第4章 空間と時間を超えて英語と日本語を知る
第5章 英語の表現と日本語の表現
第6章 学校国文法の標準化に向けて
著者等紹介
菅井三実[スガイカズミ]
岐阜県中津川市出身。名古屋大学大学院文学研究科博士課程中退、現在、兵庫教育大学大学院学校教育研究科准教授。専門は、現代日本語学・認知言語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ほりん
28
「本書は、中学校・高等学校レベルの英文法に対して、日本語の言語現象と照らし合わせることで、英文法に関する知識を増やし、一方で、日本語に関する理解を深めることを目指す」とのこと。日本語と英語には共通点が意外と多いことを教えられ、両方とも生きた言語であることを実感した。また、「生きた英語」にするために「生きた日本語」で教える(覚える)ようにするという部分で、「くじらの構文」などの考え方についての解説は、勉強になった。国語科・英語科の枠にとらわれないという筆者の姿勢に共感した。2020/03/18
壱萬弐仟縁
10
表紙裏にあるように、国語科と英語科の風通しをよくする、との発想に賛成。とかく、学校の先生は教科の枠にはまりがちで、総合学習のような教科横断の発想がないので、つまらないと思っていたので。評者はコンテンツを社会科で学び、それらを英語で発信することに関心を抱く者の一人である。本書は文法的な話なので、必ずしもとっつきやすい類のものではない。しかし、複数の教科の相関、コラボの発想は共感した。学部時代の国語の講義の講師は、国語ができると英語もできる、と指摘していた。それも実感されるような内容であった。2013/05/27
サラダ
3
学校では、英語の授業と国語の文法の授業は全く関係なく、別の教科として行われていました。この本では英語と日本語を主語、音韻、人称代名詞、動詞など様々な観点から取り上げて比較することで、それぞれへの理解を深めることができました。一つの分野を集中して掘り下げるだけでなく、他と比較する、関連させることで視界が開けることもあると学びました。2018/11/27
\しおり/
0
日本語にはどうして主語によって動詞の変化はないし(敬語は別で)、名詞が性で分かれていないんだろうと思ったけど世界の言語の中で日本語は多数派に属するらしい。母国語よりも英語を重んじて標準とする世界の状態に気づいた。比較言語学だけではなく日本語も含めた言語の教育者は読まなければならないんだろうなと思った。2013/02/03