内容説明
風雲急を告げる幕末の江戸・試衛館では、名も無き男たちが剣術稽古に明け暮れていた。後に新選組局長となる近藤勇、ナンバーツーとなる土方歳三、妖しいまでに美しい少年・沖田総司、浪人の山南敬助、原田左之助、脱藩者で有名道場の師範代であった永倉新八…。そして遂に、血塗られた最強の刺客集団「新選組」が誕生する―。時代に逆行し、燃え尽きた男たちの熱き生き様を、哀切を込めてドラマチックに描く「森村版・新選組」。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年、熊谷市生まれ。青山学院大学卒。69年、『高層の死角』で江戸川乱歩賞、73年、『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞、2003年、第7回日本ミステリー文学大賞を受賞。推理小説、歴史小説、ドキュメントと幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
16
新選組を冷静に、一歩下がった目で見ている印象です。誰かに肩入れすることなく、隊士たちの動きを丁寧に描いていると感じました。誰一人として美化せずに、新選組と直接関係のない事件まで描いているのでどちらかというと新選組を軸にした幕末といったところでしょうか。組織として強化されていく新選組が同時に血に染まる集団になる、いわば幕末の最強集団への成長過程は時に恐怖すら感じます。特に土方は徹底した鬼のような感じがしました。山南さんの孤独も痛いですね。熱く燃える新選組なのに冷たい雰囲気が著者の新選組なのでしょう。2014/03/10
青
4
新選組を美化しすぎることなく、また一人の隊士に偏ることなく描いているので新選組(特に土方)贔屓にはきついかも。新選組に直接関係のない桜田門外の変等についても脱線しすぎることなく触れていて、時代背景とともに「上昇気流に乗った」新選組とその歯車の狂い方がうまく描かれていると思う。2010/02/01
犬のぷるぷる
2
鬼に徹する土方はよく目にするけど、この土方は素で鬼やった。無理やり感動的にもっていかない所がリアルに感じられた。池田屋の描写など丁寧で読みごたえがある。他の本を挟むので下巻を読むのは少し先になりそう。2014/04/20
ゆずこまめ
2
新選組のお話だけど、一歩引いて見ている感じ。あんまり偏りすぎないから新選組ラブな人のクールダウンにいいかも。逆に熱を冷ます気がない人にはおすすめしません。2011/01/28
宮城
1
新選組内の人間模様を、誰かに肩入れするのでもなく冷静な筆致で描いている。新選組の本当の姿にかなり近いのではないか?有名な事件の背景が丁寧に描かれており、幕末の断片的な知識が繋がった。 登録者数から察するに、本書はあまり人気がないようだが、非常に面白い本だった。 幕末最強剣客集団『新選組』。時代に抗う苛烈な生き様は、漫然とした私の生活に活を入れてくれる。2019/09/01