内容説明
「命の保証はないぞ」政界の深い闇に斬り込んだ記者の運命は―大和新聞の松岡直樹は、入社15年目にして政治部へ異動になり、官房長官番となった。そしてまたたく間にトップリーグへ。一方、松岡と同期入社だった酒井祐治は、現在大手出版社で週刊誌のエース記者として活躍している。そんな酒井が「都内の埋立地で発見された一億五千万円」の真相を追ううちに、昭和史に残る一大疑獄事件が浮かび上がってきて…。
著者等紹介
相場英雄[アイバヒデオ]
1967年新潟県生まれ。89年に時事通信社に入社。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。12年BSE問題を題材にした『震える牛』が話題となりベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
246
相場英雄は、新作中心に読んでいる作家です。『不毛地帯』に続いて、ロッキード事件繋がりで期待したのですが、著者の作品としてはトップクラスではなく、不発でした。もしかしたら政権から横槍が入り、有耶無耶の内容になったのでしょうか?2017/11/09
しんたろー
208
政治と報道を描いた著者らしい社会派サスペンス。新聞記者と週刊誌記者の両面から展開して、その違いが面白かった。政治に関しても「あるんだろうなぁ」と思わせる永田町の裏側を覗き見る感覚で楽しめた。人物や固有名詞を現実の名称に置き換えて読めるのも楽しい。残念なのは、主人公の決断をぼかして終わっている点…私は思いつかない癖に偉そうだが、究極の二択とは違う結末を提示してくれたら、傑作になったと思う(著者の狙いなのは理解できるが)。オマケ:主人公の一人が他シリーズの主要人物とニアミスする(P155)サービスにもニヤリ。2018/02/16
ナイスネイチャ
180
図書館本。ロッキード事件から現代に至る闇献金に新聞記者と週刊紙記者が真相解明に挑む物語。現首相まで名前は微妙に変えているが田中角栄、中曽根康弘、安倍晋三、菅官房長官など結構深く斬り込むなぁと思ったが現政権はうやむやにしたかな。現実も結局うやむやになったが、数十年後真相が暴かれるのかなと。ビックリはしないけど。2018/02/04
utinopoti27
164
週刊誌記者・酒井は、都内の埋め立て地で発見された大金の出自を探るうちに、昭和史に残る一大疑獄事件の残滓に突き当たる。一方、大和新聞の政治部記者・松岡は、内閣官房長官から突然『トップリーグ』入りを認められ・・。本作は、政界の裏事情や、政治マスコミに精通する作者だからこそ書ける、骨太の社会派小説だ。政権を根底から吹き飛ばしかねないネタを巡って、サスペンス風に展開するシナリオが、緊張感を伴い読み手に迫る。フィクションではあるものの、細部に及ぶリアルなこだわりも読みどころ。安部や菅を彷彿とさせるキャラが面白い。2021/01/31
雪風のねこ@(=´ω`=)
146
不発弾に続いて。見知った登場人物が出てくるが正式な続編では無い。しかしある意味不発弾のネタバレになるので注意。今回はロッキード事件とマスコミが主題。相変わらずホットなネタを仕込んで物語を仕上げるので毎回凄いなと感じる。正義感溢れる人物が物語を薦めるので熱いのだけれど、毎度の通り煙に巻かれてしまうラストである。その結末は読者自身が感じて判断すれば良い事だと思う。松岡は原稿を載せただろうか?感情的に言えば載せたと思う。が、幾ら古いネタだからと言っても3名死傷されてるし、難しい所だよね。(続く)2018/01/20