日本の〈現代〉
多元化する「能力」と日本社会―ハイパー・メリトクラシー化のなかで

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  • サイズ B6判/ページ数 286p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784757141049
  • NDC分類 372.1
  • Cコード C0030

出版社内容情報

「人間力」っていうな!人格や心情の深部をまさぐられずに生きる道とは?
第6回大佛次郎論壇賞(奨励賞)受賞。

目次

序章 現代社会で求められる「能力」
第1章 ハイパー・メリトクラシーの大合唱―「人材」像をめぐる九〇年代日本の言説構造
第2章 「がんばる子ども」の作り方―「能力」としての「努力」
第3章 高校生の「対人能力」―「メリトクラシーの弛緩」の帰結
第4章 生きるためのスキル―「社会的地位」を左右するもの
第5章 女性たちの選択―自分が戦うか、子どもに戦わせるか
第6章 ハイパー・メリトクラシーに抗うために

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

23
現代社会に求められる能力とは何か、それを「ハイパー・メリトクラシー化」をキーワードに分析された本です。様々な人間力が言われていますが、僕は基本は財界・支配層が求める能力の多元化が超競争主義的な業績主義と結びついているのだと思います。そのもとで犠牲になっているのが子どもたちや若者たちなのでしょう。本著では、そうした僕の問題意識についても様々な統計なども使いながら考察できたように思います。私たち市民の側の学びを構築する必要性を感じました。2018/03/23

K.H.

8
20年前の本だけど説得力があった。試験による選抜などの立て前的な旧来型のメリトクラシーに対して、ポスト近代の人間総体を測るより純化された業績主義を、著者は「ハイパー・メリトクラシー」と呼ぶ。学力偏重の是正は昔から語られており、新しいメリトクラシーは一見素晴らしいことに思われるかもしれない。しかし著者はこれに否定的で、わたしも同意見だ。というか、本書を読んで説得された。本書の書かれた時代よりもハイパー・メリトクラシー化はたぶん進んでいるが、子供と親と学校の負担はさらに増していくのではないかと悲観してしまう。2024/04/08

ステビア

5
今さら読んだ。本田先生らしい論考。15ヶ月で6刷。2014/03/19

とみた

5
ハイパー・メリトクラシーという造語が作られたはじめての本。コミュニケーション能力とか創造性とか主体性とか「ポスト近代型能力」は個人の人格まで入り込んできてうざったいという生理的感情には同意。だけど論理は通っていたかどうかは再読して確認したい。2011/10/02

じょに

4
良著。でもやっぱ問題の設定の仕方が「でもやっぱ仕方ないんですよね?」に流されてしまうと思う。そうならない為には。なぜ<経済>のロジックが<政治>を覆ってしまうをのかを問うやり方(フーコー的/西谷修的)や、なぜ本来は反動的でありうる主体が真っ先に従属してしまうのかを問うやり方(ドゥルーズ的/ハーシュマン的)や、本当にそれで仕方ないのかを粘り強く問うこと(立岩真也的)なんかを上手く組み立てて、誰もいない世間の共同幻想を去勢しないとホントにそれぞれの生活を捨てるしかなくなるんちゃうかと悲観的に。2009/04/25

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