内容説明
国籍を理由に、年金制度からも排除される在日一世のハルモニたち。人生の晩年を迎えて今、国を相手に訴訟に立ち上がった彼女たちが、それぞれのライフストーリーを語る。植民地支配下の朝鮮での幼年時代から戦後日本社会の60年を彼女たちはどう生きてきたのか。彼女たちによって生きられた現実、それは、この国の近現代史の紛れもない一部である。彼女たちの語りに耳を澄まし、その生の細部に目を凝らすとき、他者に対してこの国とこの社会が一貫して振るい続けてきた暴力のありようが浮かび上がる。いったいいつまで、この国は、排外の歴史を続けるのか。
目次
はじめに 「他者」を拒み続ける国
1章 私たちだけ先送りはなぜですか
2章 「アイゴー」を「エルファ」に
3章 一〇〇歳まで生きて頑張る
4章 こんなこと書いたらあかんで、センセ
5章 統一したら帰ろうと思ってたら今になってもうた
6章 もうアンタ、今ごろ来たかて遅いで
7章 許されへんことがいっぱいあるねん
著者等紹介
中村一成[ナカムライルソン]
1969年大阪生まれ。新聞記者。在日外国人や難民、「病者」といった、「健全な国民」ならざる者たちをめぐる問題などをテーマに雑誌や機関誌、新聞などに執筆している
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感想・レビュー
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ゆう。
2
在日無年金訴訟をめぐる人々を取材したものです。この国は、国籍を持つ日本人に対しても社会福祉に対して差別的な態度を植え付けますが、在日となれば日本人でないという理由だけで社会福祉からの排除、社会からの排除が当たり前のように存在し、差別を受けているのだと思いました。それと、日本の戦争責任を見つめなおす機会にもなりました。過去の戦争によって故郷を奪われ、在日となり差別を受けているのですから…2013/12/16
Miki Shimizu
0
年金制度から排除されてきた在日一世の人たち。国を相手に裁判をする。その人たちがどうやって日本に来て、どうやってこれまで生きて来たかを語った本。日本にガッカリする。やったことゴメンって言うとか、反省を行動に表すとか、できひんのってカッコ悪い。しかも、そういうコト、みんな知らんし、知らされてないのよねー。2014/08/24