内容説明
核の時代の街を歩く。私たちはなにを失い、なにを生み出したのか?気鋭の思想家が描く現代日本地理。
目次
柏崎
(旧)上九一色村―サティアン跡
呉
―砂丘 演習
京都
むつ
川口
―日本ピラミッド
硫黄島
広島
両国
隅田川テラス―恐山
圏央道
つくばジャンクション
藤里町
厚木
幽霊病院
著者等紹介
矢部史郎[ヤブシロウ]
1971年生。90年代からさまざまな名義で文章を発表し、社会運動の新たな思潮を形成した一人。高校を退学後、とび職、工員、書店員、バーテンなど職を転々としながら、独特の視点と文体で執筆活動を続けている。人文・社会科学の分野でも異彩をはなつ在野の思想家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mealla0v0
6
原子力都市とは、鉄の時代の都市――工業化・工場労働・労働運動の都市――の後に来るもの、すなわち、もはや大量の労働者を必要とせず、それどころか労働の重要性が頽落し、軍事技術に由来する機密の管理技術に基づく全面的な管理が主調となった空間のことだ。それは都市の地域性を一切無視し、地元との利害交渉の必要がなく、車の機動力を利用して展開されるため、安くて広い土地であれば、どこにでも存在し得る空間だ。それは、都市が本来もつ、多種多様なものの交雑、その偶発性を封じ込めるための戦略なのである。2021/11/27
seichan
1
とても示唆的な本。知らない街のぶらぶら歩きの際には、これと「ファスト風土」とかは読んでおきたい。2011/05/07
ミズキ
0
出産後久しぶりに読み切った活字本。頭のよい人のキレの良い言葉で書かれた文章を読んで、震災後のモヤモヤが少し晴れた気がする。
さとう
0
こんな日本紀行もありかな。2010/09/22
yukimaze
0
「人文・社会科学の分野でも異彩をはなつ在野の思想家」とカバーの折り返しの著者紹介に書かれている。私にとっては、ナンシー関のような「言葉の人」だ。漠然と感じながら誰も口にしなかったことが、言葉になって掬い上げられる。つねに共感するわけではないが、そんなことはどうでもいい。『原子力都市』は、『ブラタモリ』と『空から日本を見てみよう』を視聴しつつ、『虐殺器官』とともに読むべき本。2010/03/22