内容説明
トマ・ピケティ『21世紀の資本』の原点―。ピケティ経済学の確信が早くも示されたロングセラー。
目次
第1章 不平等とその変化の測定
第2章 資本/労働の不平等
第3章 労働所得の不平等
第4章 再分配の手段
著者等紹介
ピケティ,トマ[ピケティ,トマ] [Piketty,Thomas]
1971年、フランス(クリシー)生まれ。フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)で博士号を取得後、米国MITでの教鞭を経て、現在EHESSの研究所長を務める。また、パリ経済学校の創設に貢献し、2014年より同校教授を兼任する。専門分野は公共政策と経済史
尾上修悟[オノエシュウゴ]
1949年生まれ。現在、西南学院大学経済学部教授。京都大学博士(経済学)。日本EU学会理事。2000年と2004年にパリ・シアンス・ポリティークにて客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
85
ピケティが1997年に書いたもので、その後有名になった「21世紀の資本」のもととなったパンフレットとは言わないまでも小著です。いわゆる理論的な財政学の本ではないのですが、様々な資料を用いての不平等を分析しています。第4章ではその不平等を是正するための再配分の処方箋を書かれています。フランスの税制などを基にしているので日本ですぐにということにはならないとは思うのですがヒントにはなるのでしょう。2024/01/24
壱萬弐仟縁
32
2015年初出。原題『不平等の経済学』(197頁)。再分配の効率を判断するために、我々は誰が支払うかを考えることによって済ますわけにはいかない。同様に、経済システム全体に対して示される再分配の影響が考慮されねばならない。徴税や資本移転に基づいたすべての再分配も、必ずしも類似しているわけではない(52頁)。唯一純粋な社会的公正を考えることによって、資本を最もよく与えられている個人から資本をそれほど与えられていない個人に再分配することを正当化できる(90頁)。2020/07/18
☆ツイテル☆
2
フライヤー2021/08/24
とくしん
2
倫理的なだけでなく、効率的でもある論点であれば、不平等や格差の是正に対する社会的なコンセンサスをより形成しやすくなる。二項対立ではなく二項両立の視点が大切。
デンプシー
1
再分配を考えるにあたっての新たな観点が得られたので良かった。世界の歴史的なデータの精緻な分析から、現代への提言を引き出す様は、まさにピケティらしく、とても説得的で読み応えがあった。一方で、本書は読みづらくもある。文構造が複雑で、記述が行ったり来たりしており、簡単な内容も難解に書かれている。ただそうは言っても、本書の論理は一貫しており、論理展開の軸・キーワードもある程度存在するので、一度そこに気付けば楽しく読めると思う。そこに至るまでが結構苦痛だが。2022/05/02