放射線被曝の歴史―アメリカ原爆開発から福島原発事故まで (増補)

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  • サイズ B6判/ページ数 319,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750334820
  • NDC分類 539.68
  • Cコード C0036

出版社内容情報

放射線被曝防護の基準はどのようにつくられてきたのか――。著者は、米国で発掘した膨大な資料を読み解き、「防護基準は核・原子力開発のために被曝を強制する側がそれを強制される側に、被曝はやむをえないもので、我慢して受忍すべきものと思わせるために、科学的な装いをこらしてつくった社会的基準」と喝破する。1991年に刊行された旧版に、福島原発事故の評価を加えて待望の復刊。

目次

放射線被害の歴史から未来への教訓を―序にかえて
アメリカの原爆開発と放射線被曝問題
国際放射線防護委員会の誕生と許容線量の哲学
放射線による遺伝的影響への不安
原子力発電の推進とビキニの死の灰の影響
放射線によるガン・白血病の危険性をめぐって
核実験反対運動の高まりとリスク‐ベネフィット論
反原発運動の高まりと経済性優先のリスク論の“進化”
広島・長崎の原爆線量見直しの秘密
チェルノブイリ事故とICRP新勧告
被曝の被害の歴史から学ぶべき教訓は何か

著者等紹介

中川保雄[ナカガワヤスオ]
1943年奈良県に生まれる。1961年大阪大学工学部精密工学科に入学。工学博士。1978年大阪府科学教育センター研究員を経て、神戸大学教養部自然科学史教室に着任。1988年同大学教養部教授。科学技術史専攻。1991年5月10日病没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

1
ネットで繰り広げられている安全派の方々の言質が昔から行われていて今も変わっていないと言うことがよくわかる。常に、経済利益のために切り捨てられてきた歴史がここにある。2012/04/28

Mealla0v0

0
核時代において、被曝とは、それを強制する側が強制される側へと一方的に科学的な装いを纏いながら押し付けるものである。このような視点から、著者は「被曝させられる側」に立ち、被曝を強制する今日の原子力体制を批判している。被曝を強制させられるのは、いつだって、弱い立場にある者達なのだと言う。ウラン鉱で働く先住民族や、原発で働く外国人労働者などがそう。かれらは「許容線量」などの科学的に見える基準によって被曝を、あるいは死を押し付けられているのである。2017/07/06

KMX1980

0
低線量は安全、という理論が原発と核兵器のためのイデオロギーとして如何に作り上げられてきたのかをアメリカの核開発の歴史から紐解く。ICRP(国際放射線防護委員会)の成り立ちそのものがいかに放射線から人々を守るか、ではなくどれだけ被ばくをさせるかを目的にしたものかであったのか、そして低線量被ばく=安全という理屈が以下に破綻した論理であるかを検証している。内容に比し頁数が足りない感はあるが、「放射線防護」の政治性をていねいに解説している。増補の福島事故の論考も良い。2012/09/12

Koike Katsuya

0
低線量被爆をめぐってなぜこんなにも議論が錯綜するのか疑問に思い読んだ。解ったのは、今よく言われている低線量被爆の事例データが少ないのではなく、原発の建設費をできるだけ安くする為に原発作業員の放射能健康被害を過小評価してきた事。2011/12/17

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