出版社内容情報
「左派右派をこえて」「コスモポリタン民主主義」のかけ声の下、時代遅れとして無視される政治的な敵対性。だがそれは今や新自由主義のヘゲモニー下でむしろ激化している。「政治的なもの」の欠乏に抗して多元主義的民主主義の可能性を探究する理論的思考の到達点。
第I章 はじめに
第II章 政治と政治的なもの
敵対性としての政治的なもの
多元主義と友/敵関係
ヘゲモニーとしての政治
民主主義政治にふさわしいわれわれ/彼ら関係はどのような形態か
カネッティの議会制論
フロイトと同一化
闘技的な対決
第III章 対抗モデルを超えて?
ベックと「政治の再創造」
「サブ政治」の出現
ギデンズとポスト伝統社会
民主主義の民主化
ポスト政治的ヴィジョン
対話型民主主義 vs 闘技的民主主義
近代化というレトリック
ギデンズと第三の道
新労働党による社会民主主義の「再建」
第IV章 ポスト政治的ヴィジョンに対する最近の挑戦
右翼ポピュリズム
合意型モデルの危険性
道徳の作用領域における政治
一極的世界の帰結としてのテロリズム
リベラル民主主義の普遍性
第V章 どの世界秩序を目指すべきか――コスモポリタンな秩序か多極的秩序か?
民主主義的な超国家主義
コスモポリティカル民主主義
民主主義とグローバルな統治
マルチチュードの絶対的民主主義?
多極的世界秩序へ
第VI章 結論
多元主義の限界
近代の多元性
人権の混血的概念
どのヨーロッパなのか?
1990年代という、リベラル民主主義の最終的勝利と「新世界秩序」の到来が歓呼された時期のあと、新しい敵対性が出現しつつある。この新しい敵対性がつきつけてくる難問の本質を理解するためには、権力と主権性とヘゲモニーとを乗り越える宥和した世界という夢を捨て去り、「政治的なもの」の次元を認識していく必要がある。民主主義のプロジェクトを擁護しながら徹底化するためには、そうする以外にない。
(本書第6章より)
内容説明
「左派右派をこえて」「コスモポリタン民主主義」というかけ声のもと、時代遅れのものとして無視されるようになった政治的な敵対性。しかし、右翼ポピュリズムの台頭やテロリズムの続発からもあきらかなように、それはネオリベラリズムのヘゲモニー下でむしろ激化している。「政治的なもの」の欠乏に抗して多元主義的民主主義の可能性を探究する理論的思考の到達点。
目次
第1章 はじめに
第2章 政治と政治的なもの
第3章 対抗モデルを超えて?
第4章 ポスト政治的ヴィジョンに対する最近の挑戦
第5章 どの世界秩序を目指すべきか―コスモポリタンな秩序か多極的秩序か?
第6章 結論
著者等紹介
ムフ,シャンタル[ムフ,シャンタル][Mouffe,Chantal]
ウェストミンスター大学教授(政治理論)。ハーバード大学、コーネル大学、プリンストン大学先端研究所、パリ国立科学研究センター(CNRS)などでの研究職や、コロンビア国立大学、ロンドン市立大学、ロンドン大学ウェストフィールド・カレッジなどの教授を歴任。パリ国際哲学カレッジにも参画
酒井隆史[サカイタカシ]
大阪府立大学人間社会学部准教授(社会思想・社会学)。1965年生まれ。思想誌『VOL』編集委員
篠原雅武[シノハラマサタケ]
日本学術振興会特別研究員。1975年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了(都市論・政治理論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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