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障害・病いと「ふつう」のはざまで―軽度障害者どっちつかずのジレンマを語る

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750323916
  • NDC分類 369.27
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「健常者でもなく障害者でもない」「病気だけれど健康でもある」軽度障害、顔の違い、慢性疾患、脳損傷をもつ人々の<どっちつかず>のジレンマを語り、知的障害、精神障害、軽度発達障害等の既存の定義を問い直す。当事者らによる画期的論考8編。

序章 脱援助と、絶えざる言い換えの努力(田垣正晋)
第1章 社会における障害とは何か(田垣正晋)
第2章 軽度障害というどっちつかずのつらさ(田垣正晋)
第3章 知的障害のある人が地域生活をするための見方とかかわり(古井克憲)
  ――地域に根ざした支援に向けて
第4章 物語としての精神障害(稲沢公一)
  ――本人の語りを中心に
第5章 顔に違いがあるということ(松本 学)
  ――先天的な変形を中心にして
第6章 「実態」としての障害と「問題」としての障害(赤松 昭)
  ――脳損傷による高次脳機能障害
第7章 軽度発達障害をめぐって(今泉佳代子)
第8章 慢性の病気にかかるということ(今尾真弓)
  ――慢性腎臓病者の「病いの経験」の一考察
あとがき

あとがき
 本書で取り組みたかったのは、既存の障害者福祉の内容への違和感と、広義の軽度障害の問題を言語化すること、そして自らが障害や病いをもつ方に執筆を依頼することによって、当事者ゆえのリアリティと学術的考察とのバランスをとることだった。全文を読み通して、いずれの目標もおおむね達成できたと自負している。筆者が学生時代から疑問に思い続けてきたことを世に問うことができるのは、本当に感慨深い。
 本書では「軽度障害」という言葉をあえてメインタイトルにせずにサブタイトル扱いにしている。その理由は、メインタイトルにすれば、本書の内容が軽度障害の定義と見なされかねないからである。心理学などの社会科学では、操作的定義、すなわち、一定の妥当性を明らかにした上で暫定的な定義をすることがあるが、本書の操作的定義が、「科学的」定義として一人歩きしかねない。とはいうものの、「軽度障害」ということばは、障害が軽くても、あるいは軽いがゆえの問題があることをアピールするのに効果的であるために、妥協策としてサブタイトルに用いた。章のタイトルにも軽度障害という趣旨の言葉を使っているが、各著者は、あり得る定義の一つという、暫定的なニュアンスをもって論を展開している。読者諸氏には、この苦渋の事情をご理解いただければ幸いである。
 障害・病いと「ふつう」のはざまの問題について、本書で議論が終わるとは考えていない。だが、どのような研究実践を展開していくのかは未定である。読者諸氏からの率直なご意見をいただき、今後の方針を考えていきたい。

田垣正晋

内容説明

既存の障害者福祉の内容への違和感と、広義の軽度障害の問題を言語化。そして自らが障害や病いをもつ方が執筆することによって、当事者ゆえのリアリティを現出。

目次

序章 脱援助と、絶えざる言い換えの努力
第1章 社会における障害とは何か
第2章 軽度障害というどっちつがずのつらさ
第3章 知的障害のある人が地域生活をするための見方とかかわり―地域に根ざした支援に向けて
第4章 物語としての精神障害―本人の語りを中心に
第5章 顔に違いがあるということ―先天的な変形を中心にして
第6章 「実態」としての障害と「問題」としての障害―脳損傷による高次脳機能障害
第7章 軽度発達障害をめぐって
第8章 慢性の病気にかかるということ―慢性腎臓病者の「病いの経験」の一考察

著者等紹介

田垣正晋[タガキマサクニ]
1975年生まれ。大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科専任講師。社会福祉士。京都府立大学文学部卒業。京都大学大学院修士課程、博士後期課程修了、博士(教育学)。障害者心理学、同研究方法論、障害者福祉論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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